2023年07月04日、対円でウォン高が進行しました。以下は19:43現在のチャートですが、「1円=9ウォン」を割っています。
ローソク足1本が1カ月の値動きを示す「月足」で見ると以下のようになります。
実に2016年05月以来のウォン高水準です。
韓国のメディアの皆さんもそろそろ「円安はまずい」と言い出すのではないでしょうか。
韓国メディア『Infomax』には「円安に表れた日本の国力低下…『1ドル100円はおろか120円も難しい』」というタイトルの記事が出ており、日本の円安を揶揄しています。
しかし、果たしてそんなことを言っている場合でしょうか。
韓国は日本を丸パクした国なので、輸出品目が日本と最もかぶった国なのです。ウォンより日本円の方が安くなったらどうなるでしょうか。韓国よりも高品質な日本製品が安く買えることになり、日本製品がより売れることになります。
筆者の記憶が確かなら、韓国は輸出品目が売れないと困っていたはずです。そんな折に、日本円が安くなっていくという状況は歓迎すべきものなのでしょうか?
韓国は危機になるたびに通貨安が進行して危機を脱してきました。ドルウォンチャートと、貿易収支を重ねて確認してみましょう。
論より証拠。以下は1997年のアジア通貨危機(韓国での呼称「IMF危機」)の際のドルウォンレートと貿易収支の推移です。
韓国にとって死活的に重要な貿易収支は危機の前から赤字でした。韓国が事実上デフォルトし、その結果ウォン安が急進しました。ところがこのウォン安の進行により、貿易収支が黒字化したことが分かります。
次に2008~2009年の韓国通貨危機時です。
2007年は曲がりなりにも貿易収支は黒字で回っていました。ところが2007年の終わりから急激に悪化。上掲のとおり、オレンジの線が急降下しています。
2008年は貿易収支が異常に小さくなって赤字も記録。ここに満を持してリーマンショックが来ました。
円キャリートレードの巻き戻しが起こって、韓国は途端に資金難に陥ります。ファンダメンタルズの悪化によって、資金が抜けてウォン安が急進します。
アジア通貨危機の時と同じく、遅れて貿易収支が急激にプラスに転じて上昇。これによって韓国は危機から脱出できました。これもウォン安の効果です。
そもそも韓国は通貨安に誘導することで、輸出立国としての地位ともうけを確保してきました。
今ではすっかり「過去の記憶」になっているかもしれませんが、アメリカ合衆国から「いい加減にしろよ」とウォン安誘導について非難され、泣く泣く通貨を切り上げたこともあるのです。
先に貼りましたけれども、円ウォンのチャート上では2つの経済危機は以下のようになります。
韓国の皆さんは、日本円が安くなって国力が低下すると喜んでいらっしゃるかもしれませんが、対円でウォン高が進行しているのは、韓国にとって全くいいことではありません。
韓国が頼り切っている「輸出」が日本に侵食されることになるからです。
「日本の国力が落ちた」と思うのは勝手ですが、韓国の国力が落ちることにつながるかもしれないのです。
「通貨安は周辺国窮乏策である」ということを完全に見逃しています。日本を揶揄している暇があったら、日本よりも高品質な製品をつくれるように努力するべきです。
ただでさえ品質で勝てないのですから、その上価格で負けたら、韓国製品など売れるでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)