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【半導体戦争】中国の反撃は「日本が標的」

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日本の「先端半導体の製造装置を対象にした輸出管理の厳格化」が07月23日に施行されます。

これは明らかに中国を狙ったものですが、2023年07月03日、中国が反撃策を発表しました。

ガリウム、ゲルマニウムの輸出管理を行うというのです。日本が素材・部品・装備で中国を締め上げようとするなら、「資源で反撃してやる」というわけです。

中国は「さらに川上まで行って嫌がらせをする」という態度に出ました。以下は中国の商務部が公表したプレスリリースです(一応全文ですが面倒くさい人は飛ばしてください)。

中華人民共和国輸出管理法、中華人民共和国対外貿易法および中華人民共和国関税法の関連規定に基づき、国家の安全と利益を保護するため、国務院の承認を得て、ガリウムおよびゲルマニウム関連品目の輸出管理を行うことを決定した。

関連事項を以下の通り発表する:

一、以下の特徴に該当する品目は、許可なく輸出してはならない:

(一)ガリウム関連品目
1.金属ガリウム
(参照通関コード:8112929010、8112929090、8112999000)。

2.窒化ガリウム
(ウエハー、粉末、スクラップ等を含むが、これらに限定されない)
(参照番号:2850001901、3818009001、3825690001)

3.酸化ガリウム
(多結晶、単結晶、ウエハー、エピタキシャルウエハー、粉末、スクラップ等を含むが、これらに限定されない)
(参照番号:2825909001、3818009002、3825690002)

4.リン化ガリウム
(多結晶、単結晶、ウエハー、エピタキシャルウエハー等を含むが、これらに限定されない)(Ref: 2853904030, 3818009003, 3825690003)

5.ガリウムヒ素
(多結晶、単結晶、ウエハー、エピタキシャルウエハー、粉末、スクラップ等を含むが、これらに限定されない)(Ref: 2853909026, 3818009004, 3825690004)

6.インジウムガリウム砒素
(参照: 2853909028, 3818009005, 3825690005)

7.セレン化ガリウム
(多結晶、単結晶、ウエハー、エピタキシャルウエハー、粉体、破砕物等を含むがこれらに限定されない)
(参照: 2842909024, 3818009006, 3825690006)

8.ガリウムアンチモン
(多結晶、単結晶、ウエハー、エピタキシャルウエハー、粉末、スクラップ等を含むが、これらに限定されない)
(参考通関品番:2853909029、3818009007、3825690007)

(二)ゲルマニウム関連品目
1.金属ゲルマニウム
(単量体、結晶、粉末、スクラップ等を含むがこれらに限定されない)
(参考税関商品番号:8112921010、8112921090、8112991000)

2.帯状ゲルマニウムのインゴット
(参考:税関商品コード:8112921090)

3.リン酸ゲルマニウム亜鉛
(結晶、粉末、スクラップ等の形態を含むが、これらに限定されない)
(参考:税関商品コード 2853904040、3818009008、3825690008)

4.ゲルマニウムエピタキシャル成長基板
(参考:税関商品コード8112921090)

5. 二酸化ゲルマニウム
(参考:関税商品番号 2825600002、3818009009、3825690009)

6.四塩化ゲルマニウム
(参照:税関商品番号2827399001、3818009010、3825690010)。

二、輸出事業者は関連規定に従い、輸出許可を申請し、管轄の省商務部門を通じて商務部に申請書を提出し、デュアルユース品目・技術輸出申請書に必要事項を記入し、以下の書類を提出しなければならない:

(一)輸出契約書または同意書の原本、または原本と一致するコピーまたはスキャンしたコピー;

(二)輸出品目の技術説明書または試験報告書

(三)最終使用者および最終用途を証明するもの

(四)輸入者及び最終使用者の説明書

(五)申請者の法定代理人、主要事業責任者及び担当者の身分証明書

三、商務部は、輸出申請書類を受領した日から、関連部門と連携して審査し、法定期限内に許可・不許可の決定を行う。

本公告に記載された品目のうち、国家安全保障に重大な影響を与える品目の輸出については、商務部は関連部門と連携して国務院に報告し、承認を得るものとする。

四、商務部は審査・承認を経て、デュアルユース品目・技術の輸出許可証(以下、輸出許可証)を発給する。

五、輸出許可証の申請・発給手続き、特例案件の処理、書類・情報の保存期間は、商務部・税関総署の2005年令第29号(「二重使用品目・技術の輸出入許可証管理弁法」)の関連規定に従う。

六、輸出事業者は、税関に輸出許可証を発行し、中華人民共和国関税法の規定に基づき通関手続きを行い、税関の監督を受けなければならない。 税関は、商務部発行の輸出許可書により通関手続きを行う。

七、輸出事業者が無許可輸出、許可範囲外輸出、その他違法な事情がある場合、商務部または税関などの部門は関連法規に基づき行政処分を受ける。 犯罪に該当する場合は、法律に基づいて刑事責任を追及する。

八、本公告は2023年08月01日より正式に実施する。

翻訳エンジン『DeepL』にて翻訳しました。
⇒参照・引用元:『中国 商務部』公式サイト「商务部 海关总署公告2023年第23号 关于对镓、锗相关物项实施出口管制的公告」

この規制は08月01日に施行されます。

標的は「日本」だ!

これが「禁輸」を意味するなら影響は甚大なものになると予測されます。

『JOGMEC』の「鉱物資源マテリアルフロー 2021 22.ゲルマニウム(Ge)」によれば、国別精製ゲルマニウム「合計130純分トン」の内訳は、

中国:66%
ロシア:4%
その他:30%

となっています。中国が禁輸をしかけた場合、世界中が困ることになります。

中国の金属ゲルマニウム輸出量「合計29純分トン」のうち、13%は日本向けです。

ちなみにゲルマニウムの用途について同『JOGMEC』資料から引くと以下のようになっています。

現在の主な用途には、次の3用途である。

PET 樹脂の重合触媒(酸化ゲルマニウム)
国内におけるゲルマニウム関連の最大用途。

光ファイバーの屈折調整剤(四塩化ゲルマニウム)
光通信用石英ファイバー(光ファイバー)のコアの光屈折率を高めるために、四塩化ゲルマニウムがド
ープ剤として使用されている。

電子材料(金属ゲルマニウム)
赤外線検知素子用、半導体用エピタキシャル材料、太陽光発電(人工衛星)、医療等の用途があり、電
子材料分野で需要が伸びているのが赤外線フィルタ関係である。

⇒参照・引用元:『JOGMEC』「鉱物資源マテリアルフロー 2021 22.ゲルマニウム(Ge)」

次にガリウムですが、こちらも中国に大きく依存しています。

同じく『JOGMEC』の「鉱物資源マテリアルフロー 2018 17.ガリウム(Ga)」によれば、ガリウム地金(4Nレベル)生産量「合計195純分トン)のうち、

中国:92%
ロシア・カザフスタン:4%
日本:1%
その他:3%

となっています。日本が1%あるのは、ガリウムがアルミニウムの精錬過程で得られるからで、量はわずかですが日本も輸出しています。

問題なのは、ガリウムの世界需要の44%を日本が占めていることです。

⇒参照・引用元:『JOGMEC』公式サイト「鉱物資源マテリアルフロー 2018 17.ガリウム(Ga)」

『合衆国地質調査所』(U.S. Geological Survey)は、2023年発表したガリウム関連の報告書の中で、半導体などのハイテク分野および軍需産業の応用シーンにおいて、現時点ではヒ化ガリウムの効果的な代替品が存在しない――としました(『Wall Street Journal』の報道による)。

「中国は終始、世界の産業チェーン・サプライチェーンの安全と安定を守るため取り組んでおり、終始公正で合理的で非差別的な輸出規制措置を講じている。中国政府の法に基づく関連商品の輸出規制は国際的な慣例であり、特定の国を念頭に置くものではない」と白々しく述べています。

EUの言う「de-risking」(デリスキング)が「中国はずし」を意味するのと同じぐらい白々しいといえます。中国がやり返しているのです。

今回の輸出管理の厳格化は、ガリウムをターゲットにしている点からいっても、「日本に対する報復」と考えられます。

しかし、ここで日本は音を上げるわけにはいきません。中国に屈しないために、知恵と工夫で乗り越える必要があります。

中国からすると、日本への禁輸に踏み込むと世界最大のお得意様をなくすことになります。日本と自由主義陣営国が耐えきった場合はかつての「レアメタル禁輸騒動」と同じ結末になるかもしれません。

今回の中国の反撃がどのような結果になるか、ご注目ください。

日本の外務相を務める林芳正リンホセーイさんが、福島処理水の問題で中国へのご説明に訪中するという報道が出ています。(本件も含めて)泣きに行くのではないといいのですが。

合衆国は、世界最大のゲルマニウム資源埋蔵国ですが、1984年から国防備蓄資源として保護しています。特に近年は採掘をほぼ終了しています。

(吉田ハンチング@dcp)

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