2023年、韓国政府の財政は火の車です。
政府収入は対前年同期比で約40兆ウォン少なく、「管理財政収支」は01~06月累計で「-83.0兆ウォン」※。
※先にご紹介しましたが、単純に収入から支出を引いた「統合財政収支」は「-55.4兆ウォン」です。
収入が少なくてもお金は出ていきます。
お金が足りないので、調達しなければなりません。2023年08月14日、韓国『共に民主党』のヤン・キョンスク議員が『韓国銀行』から入手した資料がメディアに公開されました。
これによると、韓国政府が『韓国銀行』から行った短借は。2023年01~07月累計で「100兆8,000億ウォン」と集計されています。
すでに約101兆ウォンを借りたわけです。
この短期借入金によって、01~06月に行った利息払いだけでも「1,141億ウォン」になります※。
※韓国政府が『韓国銀行』から短借を行う際の利子は「(融資)直前四半期の最後の月の「91日物通貨安定証券」の日平均流通利回りに0.10%ポイントを加えた水準」と決められています。
以下が2017~2023年の各四半期ごとの「『韓国銀行』からの短借による利払い額」です。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | |
2017年 | 17 | 12 | 6 | 10 |
2018年 | 20 | 8 | 1 | 1 |
2019年 | 37 | 47 | 197 | 68 |
2020年 | 152 | 197 | 113 | 9 |
2021年 | 8 | 0 | 1 | 0 |
2022年 | 26 | 80 | 168 | 0 |
2023年 | 642 | 499 |
※単位は「億ウォン」
コロナ禍の景気急速悪化によって、お金をばらまかなければならなかった2020年には、短借の利払いが急騰しましたが、2023年は「第1四半期:642億ウォン」「第2四半期:499億ウォン」。
第1四半期は2020年の約4.2倍、第2四半期は2020年の約2.5倍です。
このような中央銀行からの短借(緊急の一時借り入れ)は、一応韓国では「最後の手段」と呼ばれます。
なぜなら、スグ返す(満期6カ月)ので数字が捉えにくいですし、乱用すると政府財政の健全性が損なわれる可能性もあるからです。
一応、政府の乱用を防止するために、「『韓国銀行』の対政府一時引き出し限度および融資条件」には「政府は一時的な不足資金を国庫金管理法に基づいて、韓国銀行から借り入れるのに先立ち、財政証券の発行を通じて調達するよう積極的に努力しなければならない」と明記されています。
また、「政府は『韓国銀行』からの一時的な借り入れが、基調的な不足資金調達手段として活用されないように留意しなければならない」と書かれてもいます。
ところが、韓国の債券市場というのは小さいですから、政府が財政証券を多く発行すると、民間の債券発行を疎外する可能性があります。
なにせ太極旗の親方が発行するので信用格付けが高く、資金が政府の財政証券に偏ると、民間企業の債券にお金が回らない(資金調達ができない)かもしれないのです。
『韓国銀行』からの短借の規模が6カ月で約101兆ウォンなので、これを財政証券で……なんて話はとても無理です。『韓国電力』公社の約30兆ウォン※の社債発行ですら「(資金を飲み込む)ブラックホール」と呼ばれるぐらいです。
※2022年の社債発行限度額は「29兆4,000億ウォン」と決定されました。その前年2021年には「91兆8,000億ウォン」でした。無茶苦茶な金額ですが、それぐらいしないとお金が回らなかったのです。
というわけで、韓国政府は『韓国銀行』からお金を借りるしかないのです。
(吉田ハンチング@dcp)