韓国「鉄筋ヌケのマンション」随意契約が2,335億

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韓国の『LH』(韓国土地住宅公社)の発注したマンションで「鉄筋ヌケ」が多発した件です。

無梁版構造のマンションの柱で「せん断補強筋」がヌケていたことが発覚し、国土交通部が全数調査に乗り出しましたが、「154本の柱の全てで鉄筋ヌケのマンション」が見つかるといった事態となりました。


↑07月31日の記者会見で謝罪する元喜龍(ウォン・ヒリョン)長官。ちなみに元長官は『国民の力』の大統領候補として予備選を戦ったことがあります

建ててしまったマンションはもう仕方がないので、上掲のとおり、急きょ補強工事を行って凌いでいます。

国民からの非難が高まる中、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は『LH』の発注したマンションの全数検査を行うように指示。

ところが『LH』は、調査結果を実数より少なく公表。軽微なヌケなので発表しなくてもいいだろうと勝手に判断して、鉄筋ヌケマンションの数を5つ少なく公表したのです。


↑ウソの公表について謝罪するイ・ハンジュン『LH』社長。

『LH』社長は緊急記者会見を開いて、謝罪すると同時に新たに判明した鉄筋ヌケのマンションは20だったとしました。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も激怒したものと思われますが、監査院も調査に乗り出しています。

Money1でも何度もご紹介していますが、韓国の監査院は政府・公的機関に対する絶大な調査権限を有します。一応指揮系統上は大統領の下にありますが、独自に動くことが可能です。

まず、『LH』の発注したマンションで「随意契約」が乱発されていることが分かりました。

「随意契約」は日本でもよく登場する言葉ですが、「工事などの発注や物品の調達に際して、競争入札ではなく、それ以外の方法で選定した者と契約を締結すること」という意味です。

公共機関の取り引きについて使用される言葉です。

競争入札しているわけではないので、なぜその業者に発注しているわけ?が問われます。もっとも、競争入札だからフェアに行われているかというと……入札する業者がみんなで結託して談合すれば、意味はないのですが。

しかし、韓国の場合には談合はあり得ません。なぜなら、どの業者も他の業者を信用していないからです。必ず仲間割れが起こるのが韓国。

この件については鈴置高史先生が指摘していらっしゃいます。Money1では以下の先記事で紹介させていただきました。

「韓国には談合がない。相手を信用できないから」鈴置先生の至言
韓国経済を理解するためには、やはり韓国の人や企業、政府の考え方、性向についても知らなければなりません。なぜ株式投資が流行するのか、なぜ経済政策がそうなるのか、なぜ企業はそんな経営判断をしたのかなど、結局のところ考え方や性向を知らなければ理解...

談合が成り立つ日本は「他社(他者)に対する信用がある社会」ともいえるのです。

それはともかく、『LH』の随意契約は現在のところ、

鉄筋ヌケマンションの団地16カ所(11日にLHが追加公開した5カ所除く)の設計・監理に参加した18社が、2020年06月から2023年06月までに、随意契約方式で受注した業務は77件

随意契約で受注した金額は計2,335億ウォン規模

と判明しました。

興味深いことに以下のような例が報告されています。

『LH』出身が創業し、『LH』出身者が代表取締役を務める『A建築事務所』は、上記18社のうち最も多くの随意契約を締結した。

同社は、鉄筋ヌケが確認された1つのマンション団地を設計し、3つの団地では監理を担当。

第3期新都市共同住宅の設計業務など11件を343億ウォンで受注。

また、

『B総合建築士事務所』は『LH』所長出身などの元官僚を採用。

217億ウォン相当の設計業務7件を随意契約で受注。

154本の柱全部にせん断補強鉄筋が欠落したマンションはの事務所の設計だった。

といった状況も判明しています。つまり、「コネで仕事を発注してるんじゃないの?」という疑念が湧くわけです。

もっとも『LH』のイ社長は、「随意契約が多い」という批判に対して、

「最近の法改正で1億ウォン以上の事業の設計は直接できず、公募によってのみ業者を選定する。また、公募に選定された業者とは随意契約を結ぶことになっている」

「『LH』に随意契約が多いというが、やりたいからするのではなく、法律によって公募されたものは随意契約をすることが義務化されている」

と反論しています。

こういう案件は調べれば調べるだけ闇が見つかるのが韓国です。まだ何か見つかるかもしれません。

(吉田ハンチング@dcp)

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