韓国の若大将こと韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官は国民からの人気も高く、与党サイドでは「来る総選挙に出馬すべき」という声も上がっています。
若大将本人は「法務部長としての役割を果たすだけだ」として、国会議員に立候補することには距離を置いています(こういうところも国民の人気の元です)。
『共に民主党』側は韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官が目障りで仕方ありません。尹錫悦(ユン・ソギョル)さんの愛弟子であり、李在明(イ・ジェミョン)さんをはじめとする左派・進歩系勢力に切り込んでいる検察のケツモチは、彼だからです。
韓東勳(ハン・ドンフン)長官を蛇蝎のごとく嫌っているのが、例えば上掲の宋永吉(ソン・ヨンギル)さんです。御多分に漏れず、運動圏上がりの人※で、前文在寅政権時には『共に民主党』代表を務め、さまざまな物議を醸しました。
※『延世大学』在学中は学生運動のリーダーを務め、民間労組や弁護士を経て2000年に国会議員初当選しました。
2023年11月09日、宋永吉(ソン・ヨンギル)さんは、自身の著作『宋永吉の宣戦布告』の出版記念イベントで、韓東勳(ハン・ドンフン)長官について、
「こんな生意気な奴がどこにいる。若い奴が国会に来て300人(国会議員)の自分より人生の先輩であるだけでなく、検察の先輩を嘲笑して侮辱した」
「こんな奴を放っておかなければならないのか。私が水筒を持っていたなら、水筒を頭に投げつけてやりたい」
と述べました。自分より年下だからといって非難する態度もいかがなものか――ですが、嘲笑されるような言動をしているのは自分たちだという認識もないのです。
この発言について、11日、韓東勳(ハン・ドンフン)長官は以下のように述べました。
「宋(ソン)元代表のような人たちが、若い頃に運動圏だったということだけで、社会に生産的な貢献もあまりせず、その後の数十年間、自分の手でお金を稼いで一生懸命生きているほとんどの市民の上に道徳的に君臨している」
「私は民主化運動をした方々が厳しい時代に見せた勇気を深く尊敬する気持ちがある」
「しかし、この人たちの一部が、数十年前のことだけを持ち出して、生涯にわたって大韓民国国民を相手に恩賞を受けようとし、国民を教えようとし、道徳的優位を主張するのは全く別の問題だ。
民主化は大韓民国市民の皆さんの功績だと思う」
「宋(ソン)のような人たちが今回の金封捜査(代表選挙で議員にお金を配った事件:引用者注)や過去の違法資金処罰以外にも、口に出すのもおそましいスキャンダルがあるにもかかわらず、まるで自分たちが道徳的に優れているふりをして国民を教化しようとしている」
「宋(ソン)代表のような人物は――あえて道徳的な基準で順位をつけるなら――大韓民国国民全体の中で一番後ろにいるはずだが、このような方々が一生懸命生きている多数の国民の上に君臨し、訓戒してきたことが国民の立場からは悔しいことであり、是正すべきことだと思う」
自分が運動圏上がりだからといって、それを盾にとり、まるで自分が道徳的に上位にいるかのように振る舞っている――とケチョンケチョンに非難しました。日本の言葉を使うなら「老害」と言ったも同然です。
韓国の政治は「奇妙に道徳的であること」が面白い点ですが、この宋永吉(ソン・ヨンギル) vs 韓東勳(ハン・ドンフン)の舌戦にもそれが現れています。
長幼の序を重んじる儒教的な価値観を持つ韓国の国会議員からすれば、韓東勳(ハン・ドンフン)長官のような「若造」が自分たちを非難することが許せないのです。
しかし、韓東勳(ハン・ドンフン)長官からすれば、「あんたたちの“われらは道徳的な上位者である”という認識が駄目なのだ」と許せないのです。
(吉田ハンチング@dcp)