日本メディアでも「中国からの撤退ブーム」なんて記事が出るようになっています。しかし、じわじわと確実に「中国からの撤退」の流れができていました。
ここに至り、韓国メディアでも「中国はすにでピークを超えた」として、撤退すべきの声が出ています。
韓国メディア『毎日経済』が「?」という記事を出しており、面白いのでご紹介します。まず、「撤退ブームが来ているぞ」と主張する部分です。
(前略)
市場調査機関ウインド(WIND)によると、09月の中国の外国人直接投資(FDI)は728億元で、昨年09月比で34.4%減少した。『WIND』が関連統計を集計し始めた2014年以降、最も大きな減少幅だ。
中国商務省が発表する累積FDIも今年は01~09月9,200億元で、前年同期比8.4%減と集計された。
中国のFDIが減少し、11年ぶりに米国に後れを取る現象まで現れた。
経済協力開発機構(OECD)とアメリカ合衆国商務省の資料によると、昨年の世界FDI、1兆2,810億ドルのうち、合衆国が占める割合は24.9%で、14.1%の中国を圧倒した。
中国のFDI誘致は2010年以降、ずっと合衆国を上回ったが、コロナ19の大流行が始まった2021年から合衆国より低い水準に留まっている。
それだけ中国から撤退する企業が多いということだ。
ますます高くなる人件費に悩んでいたところに、米中覇権戦争によるグローバルサプライチェーンの再編まで襲いかかり、企業が中国を離れ、インド、ベトナム、インドネシア、メキシコなどに生産拠点を移転しているのだ。
(後略)
ここまではいいです。Money1でもご紹介したとおり、実際に中国共産党政府が公表する統計資料でも外国からの直接投資の金額は減少しています。
次に外国企業の撤退具合です。
(前略)
『Apple(アップル)』は昨年のiPhone14モデルをはじめ、今年のiPhone15モデルの一部もインドで生産ラインを稼働している。85%に達する中国のiPhone生産比率を減らすための戦略的な動きだ。
中国で作っていたMacBookも早ければ来年にはベトナムで生産するという計画を発表した。
『NIKE(ナイキ)』『adidas(アディダス)』などの企業も、早くから生産工場を中国からベトナム・インドネシアなどに移転した。
中国現地メディアのイカイグローバルによると、2023年基準、ナイキの靴生産比率はベトナムが50%で、2位のインドネシア(27%)と3位の中国(18%)を大きく上回った。
(後略)
ここまでもいいでしょう。問題は次の「韓国企業も中国を脱出している」という言説です。以下をご覧ください。
(前略)
韓国企業も「チャイナエクソダス(中国脱出)」に乗り出している。『現代自動車』は中国合弁会社である北京現代が中国で運営していた5工場のうち、北京1工場を2021年に売却し、長州工場と重慶工場の売却を進行中だ。『現代自動車』が中国事業を縮小する中、部品メーカーの脱中国行進も続いている。
(中略)
『サムスン』は一歩先に脱中国を開始した。
『サムスン』グループの中国系列会社は2018年の87カ所から今年65カ所になり、5年間で約25%減少した。
『サムスン電子』は2018年に深セン通信工場と天津スマートフォン工場の稼働を停止し、2019年に中国昆山で運営していた高密度回路基板(HDI)生産設備を完全に撤退した。
(後略)
「待て、おい」です。『Apple』や『NIKE』と同じような流れで撤退しているような書きぶりですが、全然違います。
『現代自動車』は、中国において自社製の自動車が売れなくなったため、『サムスン電子』は自社製のスマホやディスプレーが売れなくなったために撤退しているのです。iPhoneがいまだに人気を誇っている『Apple』などの企業と一緒に語るのは無理があります。
韓国が誇る半導体はさらに状況が悪いです。『SKハイニックス』が最も端的な例ですが、もはや逃げられません。
もっとも、『SKハイニックス』の場合には、『SKグループ』総帥である崔泰源(チェ・テウォン)会長が「中国市場を諦めたら、われわれには回復力がない」と明言しており(本当です!)、逃げるつもりもなさそうです。会長の弁はもはや「死守命令」といってもよく、最後まで頑張るしかないいのです。
自由主義陣営各国企業は「中国リスク」回避で、戦略的なサプライチェーン組み換えに臨んでいるのですが、韓国企業の場合には自社製品が売れなくなったので渋々工場を閉めたりしているのです。撤退というより敗戦です。
様子だけ見ると、確かに韓国企業も中国から撤退してはいますが、それは中国市場から蹴り出されたと見るべきではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)