先にMoney1でもご紹介したとおり、中国の税務当局が台湾『FOXCONN(鴻海)』への税務調査に入りました。
中国ウォッチャーおよび識者の意見によれば、これは中国による台湾総統選挙への介入の一つです。
『鴻海』の創業者である郭台銘(テリー・ゴー)さんが、2024年01月に行われている総統選挙に候補者として名乗りを上げているのですが、それでは困るのです。郭台銘さんは習近平総書記ともつながりのある人物で親中国姿勢が明らかです。
中国としては、親中国姿勢の明確な人物に総統になってもらいたいのですが、票が割れて親中国派が結局総統になれないことになると元の木阿弥です。なんとか親中国候補を1本化して勝利してもらいたい――というのが中国側の思惑。そのために『鴻海』を牽制した、というのが識者の見立てです。
――で、『鴻海』の税務調査がどうなったかというと――まさに竜頭蛇尾な結果となりました。
中国本土メディアの報道によると、国家税務総局武漢市税務局は『鴻海』に対し、虚偽の税金計算根拠を捏造・徴税管理法に違反したとして「2万元」(約8万8,464台湾ドル)の罰金を課した――としています。
日本円で約41.7万円に過ぎません。
2023年10月22日、中国メディア『環球時報』は、本土の税務当局が広東省や江蘇省などで『鴻海』の主要企業に対して税務調査を実施し、天然資源局が河南省のフォックスコンの主要企業の土地利用について現地調査を実施した――と報じました。
わずか「約41.7万円」の罰金というのは、あまりにも小さな結果です。「瑕疵などいくらでも捏造できる中国当局が」という点を考えても、お粗末という他ありません。
「いつでもやれるぞ」とアピールした脅しだった――ということでしょう。また、『鴻海』を本当に締め上げると脱中国を進めるのではあるまいか――という点を考慮したとも考えられます。
台湾の総統選挙がすぐそこに迫っています。
日本の安全保障にとっても大事な選挙です。中国共産党政府の介入を注視する必要があります。
(吉田ハンチング@dcp)