中国外交部の定例ブリーフィングで傑作な一幕がありました。以下をご覧ください。
ロイター記者:
本日、台湾の蔡英文総統(原文は「总统」)が海軍艦艇に搭乗しました。6年ぶりに海軍艦艇に搭乗しました。毎年恒例の海軍と空中演習を視察し、彼女は島を守るという台湾軍の決意を賞賛しました。これについての外務省のコメントは何ですか?趙立堅:
まず、台湾には「総統」がいないことをお伝えしたいと思います。今後質問するときは、言葉遣いに注意してください。
また、この機会を利用して、台湾当局による「台湾独立」の道は行き止まりであることを台湾当局に警告したいと思います。
台湾が本土に軍事的に対峙しようとする妄想的な試みは、蟷螂の斧のようなものであり、最終的には失敗するでしょう。
中国の立場からすれば当然かもしれませんが、趙立堅報道官は「台湾には総統なんかいないよ」と述べました。
台湾絡みでもう一つ、中国が神経を尖らせている件があります。
合衆国のナンシー・パトリシア・ペロシ(Nancy Patricia Pelosi)下院議長が訪台する予定なのです。
ペロシはナニしに台湾に?
この人がナニをしに台湾に行くのかは本当に不明です。ペロシさん本人は、「自分が行くことで合衆国と台湾の関係の強力なところを示す」と考えているのかもしれませんが、実はバイデン大統領にとっては余計なことなのです。
というのは、バイデン大統領と習近平総書記との会談を準備しており、ペロシさんの訪台はこれにブレーキをかける恐れがあるからです。
実際、バイデン大統領は本件について「米軍はいい考えだとは思っていない」と発言しています。
中国側はペロシさんの訪台について猛烈に反発しています。
2022年07月26日、中国の国防部は「彼女が島を訪問したときに備えて、人民解放軍は十分な準備をしている」とまるで何か行動を起こすかのようなコメントを出しています(以下写真)。
ペロシ下院議長がこれで訪台を引っ込めた場合、弱腰などと非難されることになるでしょう。また、バイデン政権がペロシ下院議長を説得した――なんて話になると、これまた政権が批判されるでしょう。
下院議長は、大統領職の継承順位からいえばNo.2で、立場的には非常に重い職です。仮に訪台した場合、1997年以来のこととなります。
中国側は絶対に阻止したいですし、習近平総書記との会談を模索しているバイデン政権としては中国の機嫌を損ないたくないのです。
来週に予定されているペロシ下院議長の訪台が本当に実現されるかどうかにご注目ください。
もし、ペロシ会員議長が本当に訪台して蔡英文総統と面会したら、中国的には「いない人」と面会したことになるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)