かつて虜囚のように韓国に閉じ込められた人がいました。『韓国GM』でCEOを務めたカハー・カゼム(Kaher Kazem)さんです。Money1でも何度かそのお気の毒な状況をご紹介しました。
労働組合との闘争(しかも暴力的)の末に、裁判にかけられて出国禁止措置となったのです。財閥や大企業を憎む、左派・進歩系政権下での出来事でした。
「誰が韓国でCEOなどやりたがるものか」はカゼムさんの名言です。
このカゼムさんは、文在寅政権下で以下のように3回も出国停止となっています。
2021年04月:2回目の出国停止
2022年03月:3回目の出国停止
尹錫悦(ユン・ソギョル)政権成立が決まった後、2022年03月24日にこの出国停止令を解除しました。カゼムさんはこれによって、やっと新たな赴任地「中国」に向かうことができたのです(アメリカ合衆国『GM』HQはカゼムさんに「中国上海GM総括副社長」を発令)。
「韓国での仕事は労働争議ばかりだった」
『東亜日報』が「あのカゼムさんは今どうしているのだろう」と興味深い記事を出しました。『韓国貿易協会』のチョン・マンギ副会長が、『GM上海自動車』を訪問し、カゼムさんと面談を行いました。
面談時のカゼムさんの発言が傑作なので、拾ってみます。
「中国には労使問題がなく、経営に専念できる」
「韓国で勤務した当時は、労使問題の対応が業務の大半を占めていた」
「このような環境の違いにより、中国自動車業界の革新と電気自動車・バッテリー供給チェーンの構築速度が韓国より速い」
「グローバル規範の導入拡大など、韓国の競争力確保努力がさらに強化されなければならない」
「業種と期限を制限した韓国の労働者派遣法などはグローバル基準に合わない。韓国の雇用規制の緩和が必要だ」
まさに「誰が韓国でCEOなどやりたがるものか」で、韓国を脱出できたことにせいせいしているご様子。もう二度と韓国で勤務したくないでしょう。もっとも「労使問題がない」というのも、全くないならそれはそれで問題ではありますが。
(吉田ハンチング@dcp)