2023年11月30日、韓国の統計庁が見逃せないデータを公表しています。「2023年10月の産業活動動向」なのですが、第4四半期になって韓国企業の先行きが暗くなったのではないか――という兆候が見られます。
まず、全産業生産は対前月比で1.6%減少しました。
07月:-0.8%
08月:+1.9%
09月:+1.0%
10月:-1.6%
※対前月比の推移
で推移していたのですが、10月になってまたマイナスに転じました。
この「-1.6%」というのは、コロナ禍の只中で記録した「-1.8%」(2020年04月)以来の減少幅で42カ月ぶりとなります。
一応、統計庁は「08・09月に生産が大きく伸びたので、その基底効果」「10月は臨時休業があったので営業日数が少なかったため」と理由を説明しています。
面白いのは「製造業」の生産での業種によるプラマイです。
電子部品:+10.4%
自動車:+3.2%
などでプラスですが、
半導体:-11.4%
機械装備:-8.3%
電気装備:-5.8%
などでマイナスです。
特にご注目いただきたいのは半導体で、対前月比「-11.4%」は8カ月ぶりの大きな下落です。
07月:-2.5%
08月:+13.5%
09月:+12.8%
10月:-11.4%
08・09月と二桁パーセントのプラス成長を続けたのに、やはり10月にマイ転です。
ちなみに製造業の「出荷」も対前月比「-6.5%」。半導体もマイナスです。
製造業の在庫比率(在庫/出荷)は122.3%。対前月比で8.4%ポイント上昇です。気になる半導体は-9.6%で、在庫を減らしています。
消費動向を見るには「小売販売」に注目すべきですが、これは対前月比で「-0.8%」。消費が弱いというのは韓国の直近の問題で、09月は旧盆があったので「+0.1%」と対前月比プラスになりましたが、一瞬で終わったようです。
消費は再びマイ転です。
最後に「設備投資」。これも対前月比で「-3.3%」です。
08月:+4.1%
09月:+8.7%
と2カ月間はいい調子だったのですが、これもマイ転です。
結論としては、生産・消費・設備投資の3つが全部「対前月比でマイナス」に転じました。
ただし、対前年同月比では2カ月連続のプラス。これをもって統計庁は「回復の流れを示している」としています。第4四半期に景気が悪化しなければいいのですが……。
(吉田ハンチング@dcp)