2024年04月10日投開票の「第22代国会議員総選挙」が迫っており、韓国内では立候補者、各政党のヒステリックな「これやります!」の声が錯綜するようになっています。
国民の歓心を買うための金切り声ですが、最大野党『共に民主党』の党首・李在明(イ・ジェミョン)さんが、またぞろバラマキを行う旨の声を上げました。「国民1人当たり25万ウォンずつの民生回復支援金を支給する」というのです。
支給するといっても、『共に民主党』は政権与党ではありませんので、そんな権限はありません。次の国会で追加の補正予算を組むように提案することはできますが。
2024年03月24日、セマウル市の商店街を訪れた李在明(イ・ジェミョン)さんのお言葉が以下です。
「尹錫悦(ユン・ソギョル)政権の無能と国政の失敗で民生と経済が完全に破綻の危機に陥っている」
「日に日に暴騰する物価は国民の生活を窒息させている。リンゴ1個に1万ウォンだ」
「大統領が住んでいる世界では長ネギが1束に875ウォンするようだが、普通の近所のスーパーでは長ネギがだいたい4~5,000ウォン程度だ。875ウォンは農家の生産原価にもならない価格だ」
大統領が住んでいる世界では長ネギが875ウォン――というのは、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が市場を視察した際に見た「値段」のことを言っています。庶民の味方のような発言をしていますが、これは欺瞞です。
李在明(イ・ジェミョン)さんご本人は、恐らく辛ラーメンの価格すらもご存じないでしょう。韓国の「勝ち組」というのはそうしたものです。
また、次のようにも述べています。
「自営業者と小商工人の場合、物価爆弾のせいで消費が減り、売り上げが減少している」
「崖っぷちに立たされた民生経済回生のために特段の緊急救援措置を急がなければならない」
「『共に民主党』は民生経済非常事態を解決するために、国民全員に1人当たり25万ウォン、1世帯当たり平均100万ウォンの『民生回復支援金』の支給を提案する」
「民生回復支援補正予算の議論に直ちに着手することを公式要請する」
ざっくり1/10で計算して、1人当たり2万5,000円、1世帯当たり平均10万円を給付するそうです。
また、『共に民主党』の推算によれば「13兆ウォンの予算があればできる」とし、李在明(イ・ジェミョン)さんは「尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がこれまで施した富裕層減税と『民生のない民生討論会』で明らかにした欺瞞的な選挙公約の履行にかかる約900~1,000兆ウォンに比べれば、はるかに小さくて済む」と述べました。
これがウソです。
韓国の行政安全部が2024年01月04日に公表した「住民登録人口統計」によれば、2023年12月時点で、
世帯数:2,391万4,851世帯
(1人世帯は993万5,600世帯)
となっています※。
仮に1世帯平均100万ウォンをまくとすると、
になります。仮に1人世帯には25万ウォン、2人世帯には50万ウォン、3人世帯には75万ウォン……としていくと以下のようになります。
2人世帯:585万9,136世帯 × 50万ウォン = 2兆9,296億ウォン
3人世帯:404万1,610世帯 × 75万ウォン = 3兆312億ウォン
4人世帯:315万6,760世帯 × 100万ウォン = 3兆1,568億ウォン
5人~世帯:92万1,842世帯 × 125万ウォン = 1兆1,522億ウォン
小計:12兆7,536億ウォン
※5人以上の世帯は125万ウォンで丸めて計算しました。
これなら13兆ウォンでまとまりそうですが、しかし1世帯平均100万ウォンにはなりません。「約53万3,293ウォン」です。
1世帯平均100万ウォンを公約にするなら「約24兆ウォン」、13兆ウォンの1.8倍かかるのです。
いずれにせよ、1人当たり2万5,000円まいたところで、現在の「非常な不景気」がどうにかできるとも思えません。また、この李在明(イ・ジェミョン)さんは財源などは一切考えない人なので、しょせん『民生回復支援金』も思いつきの話でしかないのです。
「とにかくお金をまく話をすれば国民の支持が得られる」などという浅薄な考えは、いい加減に捨てたらいかがでしょうか。
※1人世帯が全体の41.5%を占めている点にもご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)