「暴落する韓国ウォン相場」という文言は韓国メディア『毎日経済』の記事から引いています。
ドルウォンの為替レートが一時「1ドル=1,400ウォン」を超えましたので、韓国に狼狽が走っています。中東情勢の悪化でドルが強まっており、ローカルカレンシーのウォンの価値が下がるのは当然です。
↑2024年04月17日23:05現在のドルウォンチャート。「1ドル=1,382.92ウォン」です(チャートは『Investing.com』より引用)。
ただし、韓国の場合には2020年のときのようにドルの独歩高であっても、ドル不足でドボン騒動を起こす可能性があります。実際、当時の韓国は『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が提供したドル流動性スワップ(韓国側呼称は「通貨スワップ」)で九死に一生を得ました。
「暴落する韓国ウォン相場」とタイトルを付けた『毎日経済』の記事から面白い箇所を以下に引用してみます。
(前略)
主要国の通貨がすべて弱含みだが、特にウォン安が顕著であることは、外国為替当局の立場で悩みの種だ。『Bloomberg』によると、16日午前11時現在、ドルに対するウォン相場(1,398.83ウォン)は5日前に比べて3.1%下落した。
同じ期間、日本円(-1.7%)、タイバーツ(-1.4%)、中国人民元(-0.1%)よりも下落幅が大きい。
『Bloomberg』が集計する11のアジア主要通貨のうち、価値の下落幅が最も大きかった。
(後略)
ドル強の様相を見せる中、韓国ウォンがいかに価値を下げているのかの嘆き節です。先にMoney1でもご紹介したとおり、韓国のウォンは主要通貨といわれるものの中でも最弱のクラスなのです。
韓国の皆さんは「日本円も下落しているじゃないか」といいますが、ドル一強の方向に向かう中、日本円の価値が落ちるのも仕方ない話。それよりも価値の落ち幅が世界最弱クラスであるウォンの心配をするべきでしょう。
以下の部分はさらに面白いです。
(前略)
専門家らは、ウォンの価値がさらに下落する可能性があると見ている。ウォン相場が過去の「危機レベル」である1,400ウォン台に突入したため、「底」が打たれるまで、どこまで下がるか予想が難しいということだ。
キング・ドルによる市場の不安心理と中東地域拡大の可能性による国際原油価格の推移、欧州の金利引き下げの有無などによって、ウォン相場が2022年下半期の安値水準である1ドル=1,430~1,440ウォンまで下落する可能性があるという展望も出ている。
ただ、外国為替当局がこのようなウォン急落を放置しないだろうという見方もある。
パク研究員は「政府と『韓国銀行』など当局が市場安定化措置を適時に実施すると明らかにした以上、1,400ウォン台に長くとどまることはないだろう」と予想した。
もしかしたら「1ドル=1,430~1,440ウォン」までいくかも……というのですが、こればかりは誰にも分かりません。
ただし、「外国為替当局がこのようなウォン急落を放置しないだろう」からウォン安はいつまでも進行しない――は間違っています。
韓国の外為当局がいかに介入してウォン安を止めようとしても、市場が「ウォン安だ!」というときは止められません。
介入資金は有限だからです。ウォン安阻止を行うためには「ドル売りウォン買い」が必要で、防衛しようにもドルはいつか尽きます。
ただ、大変残念なことに、現在の『韓国銀行』の総裁は李昌鏞(イ・チャンヨン)さんですので、恐らく舵取りを間違えたりしません。もし、総裁が無能な人物であり、アメリカ合衆国から「知らんがな」といわれそうな左派・進歩系の反米政権なら、面白いことになるかもしれないのですが。
(吉田ハンチング@dcp)