「K-造船の輸出総力戦」12の金融機関が15兆を供給する!

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はっきり言えば、韓国の造船業は斜陽産業です。

ムキになって(中国企業と)安値の叩き合いを行って受注しても、結局企業は黒字になりません。また、これまでの構造調整によって、熟練技術者は造船業から去り、先が暗いと見透かされているので、若者は造船業に入ろうとはしません。

先に『サムスン重工業』がロシア企業から17隻分の契約を解除された件をご紹介しました。

これに慌てたのか、2024年06月18日、韓国の産業通商資源部が、「K-造船の輸出総力戦… 12の金融機関総15兆ウォン供給」という大変に勇ましいタイトルのプレスリリースを出しました。

面白い内容なので、以下に全文を和訳します。面倒くさい方は、強調文字などの部分だけ見て飛ばしていただいても大丈夫です。

K-造船輸出総力戦……12の金融機関、計15兆ウォン供給

-9つの銀行が中型造船会社RG1件ずつ、計9隻分を発行……総1兆ウォン規模の受注支援

史上初めて市中・地方銀行が中型造船会社のRG発行に全て参加……5大銀行は11年ぶりに中型造船会社RG発行を再開

-無保証特例保証比率95%まで拡大……銀行保証負担1/3に緩和

-『新韓銀行』、大韓造船の原油運搬船に対して1号RGを発行

産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)長官と金融委員会のキム・ジュヒョン委員長は共同で06月17日(月)、「K-造船輸出金融支援協約式」と造船企業との懇談会を開催した。

この日のイベントには、△5大市中銀行(国民・ハナ・新韓・新韓・ウリ・農協銀行)の行長、△3つの地方銀行(慶南・光州・釜山銀行)の行長、△4つの政策金融機関(産業銀行・企業銀行・貿易保険公社・輸出入銀行)の機関長、△3つの造船会社(HD現代重工業、大韓造船、K造船)の代表が出席した。

銀行、政策金融機関など計12機関が意気投合したのは、激化しているグローバル造船1位競争で受注競争力を確保し、韓国の輸出を拡大するためだ。

韓国の造船産業は、大手企業を中心にLNG運搬船など高付加価値船を大量受注し、4年分以上の日数を確保するなど、好調を維持している。

船舶輸出も今年1月から5月まで合計104億ドルで前年比57%増加し、輸出右肩上がりを牽引している。

このような受注好況に伴い、造船会社は船舶建造契約に不可欠な前払金返還保証(Refund Guarantee、RG)の供給拡大が必要な状況だった。

これに対し、産業部と金融委員会は、省庁協業を通じて市中・地方銀行と政策金融機関が参加し、地方銀行と政策金融機関が参加するRG拡大案を策定したため、今回のイベントを開催した。

RGとは:通常、発注者(船主)は造船会社に船舶建造代金の40%を前金として支払い、造船会社の船舶の適期引渡しの失敗に備えて金融機関の前金返還保証を要求する

‣(中型造船会社)9銀行で9隻、産業銀行6隻+α RG発行……1兆ウォン規模の船舶RG支援9銀行(5つの都市銀行、3つの地方銀行、企業銀行)と貿易保険公社は大韓造船、K造船など中型造船会社に対するRG供給拡大のために「K-造船輸出金融支援協約」を締結した。

9つの銀行は、既に受注した船舶のRG発行期限に合わせて、それぞれ約3千万ドル、計2.6億ドル規模のRG9件を支援する。これにより、合計7億ドル規模(約1兆ウォン相当)の船舶9隻の建造が順調に進む予定だ。

Muboは今回の協約式を機に、中型造船会社のRGに対する特例保証比率を従来の85%から95%に拡大し、銀行の保証負担を従来の15%から5%に引き下げた。

また、産業銀行でも中型造船会社が既に受注した船舶に対して独自に2.6億ドルのRGを発行する予定であり、RG発行により合計5.7億ドル(約7,500億ウォン)規模の船舶6隻の建造が順調に進む予定だ。

今後の受注契約件については、船舶引渡し日程に応じて1.6億ドルのRGを発行する予定である。

(‣ 市中銀行-中型造船会社1号RG) 新韓銀行、大韓造船に1号RGを発行新韓銀行、大韓造船に1号RG発行市中・地方銀行が共に中型造船会社のRG発行に参加したのは史上初であり、特に5大中央銀行は過去、造船業不況による大規模なRG損失を経験した後、11年ぶりに中型造船会社に対するRG発行を再開した。

この日、新韓銀行は大韓造船がベルギー船社から受注した原油運搬船1隻(受注額8,700万ドル)に対する1号RGを発行した。

(大型造船会社)5大中央銀行・産銀・水銀・基銀は今年合計14兆ウォンの新規RG限度額を提供した一方、すでに4年分の日数を確保した大型造船会社に対しては、5大中央銀行、産業銀行、輸出入銀行、企業銀行など計8行がRG発行を分担してきた。

ただし、最近の高額船舶の受注好況により大型造船会社の既存RG限度額がほぼ枯渇したため、8つの銀行は現代系列3社(HD現代重工業、現代三湖重工業、現代美浦造船)とサムスン重工業に合計101億ドルの新規RG限度額を付与した。

毎年末クラークソン船指数(`88.1月=100) : (`20) 125.6 → (`21) 153.6 → (`22) 161.8 → (`23) 178.4

業務協約式に続き、安徳根長官とキム・ジュヒョン委員長は出席者との懇談会を通じて造船業界現場の声を聞いた。

造船会社の代表は、政府の技術開発(R&D)支援で競争力を維持し、受注拡大に伴う人材問題を解決したこと、業界の長年の宿願である中型造船会社に対するRG発行は、K-造船競争力の最後のパズルを完成させたと感謝の意を表した。

また、今後も受注が続くと予想されるため、今回再開された市中銀行の中堅企業のRG発行が今後も継続できるよう、政府と金融圏の多くの関心を求めた。

安徳根(アン・ドックン)産業部長官は、

K-造船の世界1位を維持するための産業生態系を強化するためには、大型及び中型造船会社の同伴発展が非常に重要」

と強調し、

「受注・建造・輸出の全工程にわたって官民がワンチームで総力を支援する一方、後発競争国の追撃を食い止めるための『K-造船超格差技術ロードマップ』を07月中に策定する」

と明らかにした。

キム・ジュヒョン金融委員長は「過去、造船業の低迷で中断された市中銀行の中型造船会社のRG発行が再開されたことは大きな意味を持つ」と言及し、「今後も造船会社の金融難がないように支援し、業界と持続的にコミュニケーションを取りながら点検していく」と明らかにした。

⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「K-朝鮮輸出総力戦… 12の金融機関総15兆ウォン供給」

「お前らもっとRGを切れ」という泥舟に金融機関が乗せられた

何が行われたのかというと、官民一体となって造船業を維持するために、韓国政府が金融機関に対して「RGをもっと切れ」と強要して、ナシを通したのです。

「RG」というのは、上掲プレスリリースにあるとおり、造船の受注契約を取るために必須の「前払金返還保証」といわれるものです。

仕事を発注する船主は、前渡金で40%を支払うのですが、納金に間に合わなかったとか、金もらったら逃げやがったとか、何かあったときには金融機関がこれを返却します――という契約を取り付けておくのです。

これがRGです。

このRGがないと、造船のようなビッグな仕事は取れません。そもそも船主が怖くて発注できません。

一方の、RGを切る金融機関からしても怖い話です。「この造船会社、仕事の途中で潰れるのではあるまいな」などと考えると、テッパンな最大手の大型造船企業にしかRGを切りたくありません。

そのため、造船産業が傾いてからは、金融機関は及び腰でした。

ところが、このたび政府が「造船業は絶体世界1位を維持して潰しはしねーぞ!」と決意してしまったため、五大銀行のみならず、3つの地方銀行、4つの政府金融機関まで呼び出され、

『国民銀行』
『新韓銀行』
『ウリィ銀行』
『ハナ銀行』
『農協銀行』
『慶南』
『光州』
『釜山銀行
『産業銀行』
『企業銀行』
『貿易保険公社』
『輸出入銀行』

計12の金融機関が、「僕たちはもっとRGを切ります」と誓わされて、(斜陽産業に)15兆ウォンを突っ込むことになった――のです。

「K-造船超格差技術ロードマップ」ってなんだ?

傑作なのは、最後の懇談会を描写した部分です。

造船会社の代表が、中型造船会社に対するRG発行について、K-造船競争力の最後のパズルを完成させたと感謝の意を表した――ことになっています。

金融機関の皆さんは「泥舟に乗っちゃったよー」と涙ぐんでいたかもしれません。

また、安徳根(アン・ドックン)産業通商資源部長官の「後発競争国の追撃を食い止めるための『K-造船超格差技術ロードマップ』を07月中に策定する」はさらに傑作です。

韓国は、「独自技術で造った!」と誇っていたLNG運搬船がとんだポンコツでお話にならず、修理しても全然直らないので廃船にするような国なのです。

そんな韓国にいったいどんな「超格差技術」があるというのでしょうか。

これは楽しみです。ぜひ、読者の皆さまも07月に公開するというロードマップにご期待ください。

韓国はこうでなくてはいけません。わくわくしますね!

(吉田ハンチング@dcp)

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