中国ウォッチャーにとっては見逃させないニュースです。
2024年07月16日、アメリカ合衆国ニューヨーク州の連邦地裁は、合衆国に亡命中の郭文貴さん(下掲写真)に詐欺の罪について有罪判決を下しました。
日本ではあまり(というかほとんど)知られていませんが、この郭文貴さんは中国の政治絡みニュースにおいて有名人です。
もともとは中国共産党政府とべったりで不動産ディベロッパーとして大成功を収めました。しかし、2014年に中国当局からの捜査を受け、その後アメリカに逃れました。
「自分は中国共産党と戦う男だ」とアピールするようになります。中国共産党上層部のスキャンダルや中国の暗部について告発する活動を行い、中国政府から大いに敵視されました。
中国から大金を持って逃げたとされ、合衆国へ逃げ出した後も派手な生活ぶりを誇示していました。「Take Down the CCP」(中国共産党を打倒せよ)という楽曲(下掲)までリリースして大ヒットしたくらいです。
↑「Take Down the CCP」ではMILES GUOとしてボーカルを務めています。
派手な活動だったため、ソーシャルメディアでは多くのフォロワーを集めました。
ところが……です。
2018年から2023年にかけて、ソーシャルメディア上でフォロワーに対し、一連の投資と暗号通貨スキームに参加すれば損をしないと確約することで10億ドル以上を集め、その一部は中国政府への挑戦に使われると述べた――とのこと。
郭文貴さんは、広範な恐喝罪と関連する多くの詐欺罪を含む12件の告発のうち、9件で有罪判決を受けました。幾つかの罪状において懲役20年の可能性があり、資産没収の可能性もあります。
11月19日に判決が言い渡される予定ですが、2023年03月以来、郭文貴さんは保釈金なしで拘留されています。
マンハッタン連邦検事のダミアン・ウィリアムズさんは、「何千人もの郭文貴のフォロワーが、彼の放蕩の犠牲になった」と述べました。まさに「高級外車を乗り回し……」という生活をしていたわけですが、それはフォロワーから吸い上げたお金で賄われていたのかもしれません。
中国共産党政府に寄り添って大金を稼ぎ、身の危険で合衆国に逃げ出した郭文貴さんでしたが、いよいよ年貢の納め時という感じでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)