ほとんど日本では報道されていませんが、中国では電力不足が深刻になっています。この原因は石炭不足によるもので、火力発電所が操業難に追い込まれているのです。
まず、中国の電力不足、電力網の危機的状況を紹介した中国語メディア『阿波罗新闻』の記事から一部を以下に引用します。
中国の多くの場所で電力が削減されているが、理由と対策は異なる。
東北部では、23日以降、多くの都市で突然の停電が発生している。
報道によると、石炭価格の高騰と発電用石炭の不足により、電力会社は電力網が崩壊する危機に瀕しているとも述べた。冬が始まる前に電力配給を終了できるかどうかはまだ分かっていない。
(中略)
新京報は本日(2021年09月26日:筆者注)、国電網の顧客サービススタッフが、北東地域が非居住者向けに「電力の秩序ある使用」を最初に実施したと述べたが、依然として電力ギャップがあり、現在、電力網全体に崩壊の危険性がある。住民への電気の制限措置 需給不足が解消された後、住宅用電力消費の復旧を優先するが、復旧時期は現時点では不明である。
(中略)
多くの人が停電を心配しており、特に北東部の気温は摂氏10度以上に下がり、体感温度はさらに低くなっている。
(中略)
現在、浙江省、江蘇省、広東省など多くの場所で電力配給作業が実施されている。しかし、これらの南部の州は住民への電力を制限している東北部とは異なり、工場への電力のみを制限している。
(後略)
嫌がらせでオーストラリアからの石炭を止めたりするからそういう目に遭うんだ、という話なので全く身から出た錆なのですが、この電力不足は韓国から進出した企業にも多大な影響を与えているのです。
『亜州経済(韓国版)』によると韓国製鉄最大手『ポスコ』の現地工場が操業停止に追い込まれているとのこと。同紙の記事から一部を以下に引用します。
(前略)23日から中国吉林省と遼寧省など東北を中心に、中国のほとんどの地域で電力供給を制限し始めた。これは、中国北東部の電力難が尋常ではないという意味だ。
これに該当地域に進出した韓国企業も苦労している。
江蘇省張家市『ポスコ』のステンレス鋼工場は、電力不足で来月初めまで稼動を中断することにした。
可動再開は、来月初めに電力状況を見て判断するという立場だ。
オーストラリアの石炭を輸入しない理由というのも、オーストラリアに「コロナの発生起源についての調査に中国は協力しろ」と言われたから、という実にあほらしいもの。
その仕返しでオーストラリアからの輸入品を絞り、その挙げ句に国内が電力不足に陥り、海外から進出した企業にも迷惑をかけているのです。
現地に進出した日本企業もまた同じような目に遭っています。2021年05月には広東州で日系自動車部品メーカーが使用電力量についての制限を受けた例などが知られています。
こういうのもまた中国の政治リスクといえるでしょう。何度もご紹介しているとおり中国はもはや「チャンスの地」などではありません。
(吉田ハンチング@dcp)