韓国尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は内乱罪に当たらない。韓国は根本的に間違っている

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冒頭に結論をまず書きますが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領による非常戒厳の宣布は内乱罪に当たるのか? についての法理的解釈は「NO」です。

韓国憲法学会の元副会長である、イ・インホ『中央大学法学専門大学院』教授(憲法学)が、2024年12月09日、自身のFacebookで以下のように指摘していらっしゃいます。非常に重要な主張なので、以下にその全文を引きます。

韓国の『中央大学』で日本の『中央大学』ではありません。

イ・インホ コラム:憲法学者による7つの争点分析
内乱罪は成立せず、同一会期内の弾劾2回目の投票は違法…《投票不成立》ではなく《案件否決》

7つの争点
1.現在の状況は政治闘争であり、《憲法の危機》ではない。
2.原因は《巨大野党の立法権暴走》にある。
3.大統領の戒厳権発動は要件を満たしていない。
4.戒厳発動に対する処罰は不可能。
5.内乱罪は成立しない。
6.国会議長は憲法および国会法に違反している。
7.大統領は収拾策を委任したのであり、権限を委任したわけではない。

《憲法的視点から見る弾劾と内乱罪の論争》
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による突然の戒厳発動を受け、政治状況が緊迫化し、国政が混乱の渦中にある。

03日午後10時27分、非常戒厳が宣告され、2時間40分後に国会が在籍議員190人全員の賛成で非常戒厳解除を決議した。これにより国会敷地内に進入していた戒厳軍は即時退去し、戒厳宣言から6時間後に大統領が戒厳解除を宣言した。

07日午前10時、大統領は談話を通じて戒厳宣告に関し国民に謝罪し、再度の戒厳は行わないと表明。「任期を含め今後の政局安定策を与党(国民の力)に一任する」と述べた。

同日夜9時頃、国会で発議された弾劾訴追案は国会議員200人以上の賛成を得られず否決された。

08日午前11時、国務総理と与党代表が共同談話を発表し、大統領の退陣を示唆しつつ、《大統領が外交を含む国政に関与しない》と明らかにした。

その後も野党は《弾劾》と《内乱罪》を持ち出して政治的攻撃を続けている。

08日、検察は大統領を《内乱容疑者》として立件し捜査中であると発表した。

このような中、国民の激情が政治状況を悪化させている。国会を掌握した野党が《弾劾》と《内乱罪》を掲げて国民の怒りを煽っているのだ。

国民の意見は鋭く分裂し、政治闘争の激しい波に巻き込まれている。まさに政治的危機である。

しかし過去の経験から学ぶべきだ。

激情による判断が朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾訴追、罷免、そして拘束へと繋がり、国家的な混乱と危機を招いた2017年の事例を忘れてはならない。

7つのポイント
① 現在の状況は《政治闘争》であり、《憲法の危機》ではない
現在の状況は、大統領と国会(正確には野党多数の国会)が互いの憲法上の権限を極限まで引き出して打撃を与え合う《政治闘争》の状態である。《憲法闘争》でも《憲法の危機》でもない。

政治において絶対的な善(良い行為)は存在しない。それにもかかわらず、大統領や与党・野党は自らを善(良い)とし、相手を悪(悪い)と見なして極端な行動に走っている。

② 今回の戒厳発動の背景には《巨大野党の立法権暴走》がある
野党は総選挙で得た多数票を武器に、大臣や検察官、放送通信委員長、監査院長など高位政府官僚を《片っ端から弾劾訴追》し、《職務を停止》させた。これは韓国政治史、さらには世界の議会史でも前例がない。

さらに、検察、警察、監査院、そして大統領府の特別活動費や特定業務経費を《全額削減》し、実質的に《機能を麻痺させる》試みを行った。《予算議決権》は国会の権限だが、これは正常な権限行使とは見なせない。

このような状況で、行政府の首長である大統領は大きな危機を感じ、《国家元首としての憲法上の戒厳発動権》というカードを切った。だが、国会が持つ《戒厳解除要求権》に阻まれ、《憲法に従い》戒厳カードを収めた。

③ 大統領の戒厳権発動は憲法の要件を満たさない
憲法第77条は「戦時、事変、またはこれに準ずる国家非常事態」を《戒厳発動の要件》と規定している。また、下位法である戒厳法では「社会秩序が極度に混乱し、行政および司法機能の遂行が著しく困難な場合」を《非常戒厳の宣告要件》としている。

大統領が野党の立法と予算の暴走により、行政および司法機能の遂行が困難だと判断した可能性はあるが、その判断は誤っている可能性が高い。また、戒厳軍が国会に進入した行為は《戒厳権限の限界》を超えたものと見なす余地がある。

④ それでも大統領の戒厳発動を理由に《処罰》する論理は成り立たない
戒厳の要件および行使に関する一次的な判断は、権限を持つ大統領に属するものだ。その判断が誤りである可能性はあるが、その誤り(違憲性)を後から確認して《権限行使を無効にする権限》は憲法裁判所にある。

《違憲無効》とされたからといって、その権限行使者を処罰することはない。多くの法律が憲法裁判所によって《違憲無効》と宣告されても、法律制定者が処罰されるわけではないのと同じだ。

《違憲確認の効力》は、その《権限行使の効力を排除》するにとどまる。

もし戒厳発動を理由に大統領を処罰しなければならないのであれば、違憲的な法律を制定した国会議員も処罰されるべきだ。大統領であれ国会議員であれ、違憲的な権限行使があり得ることを認めなければならない。その是正は《効力の排除》であり、《処罰》ではない。

⑤ 大統領の戒厳宣告と権限行使は《内乱罪の要件》に該当しない
刑法第87条による《内乱罪》は、「大韓民国領土の全体または一部において国家権力を排除するか、それに準じて国憲を混乱させる目的で暴動を起こした行為」と規定されている。

たとえ大統領の権限行使に違憲性があったとしても、その行為を《暴動》とみなすことはできない。

この観点から見ると、検察が大統領を《内乱容疑者》として立件したのは非常に性急な判断であり、大統領の正常な業務遂行を妨害する危険な措置だと言える。

⑤ 大統領の戒厳宣告と権限行使は《内乱罪の要件》に該当しない
刑法第87条による《内乱罪》は、「大韓民国領土の全体または一部において国家権力を排除するか、それに準じて国憲を混乱させる目的で暴動を起こした行為」と規定されている。

たとえ大統領の権限行使に違憲性があったとしても、その行為を《暴動》とみなすことはできない。

この観点から見ると、検察が大統領を《内乱容疑者》として立件したのは非常に性急な判断であり、大統領の正常な業務遂行を妨害する危険な措置だと言える。

⑥ 国会議長の「投票不成立」宣言は《詭弁》であり、憲法および国会法に《違反》している
国会議長は、大統領弾劾訴追案の投票結果について「議決定足数不足による投票不成立」と宣言したが、これは《案件否決》であり、《投票不成立》ではない。

弾劾訴追案は在籍議員の過半数による発議で表決に付され、投票結果として195票を得たが、憲法上の議決要件である《在籍議員の3分の2(200票)》に達しなかった。

この場合、憲法および国会法では明確に《案件否決》とみなされるべきだ。

国会法第92条(一事不再議)は「否決された案件は同一会期中に再び発議することはできない」と規定している。

しかし野党は、臨時会期を細かく分けて毎週新たに弾劾訴追案を提出する計画を明らかにしており、これは議会制度を崩壊させかねない危険な行為である。

⑦ 大統領は収拾策を委任したのであり、《権限を委任》したわけではない
7日の談話で、尹大統領が《政局安定策を与党に委任する》と述べたのは、自身の任期を含めた政局収拾策を与党に任せるという趣旨であり、《国政運営の委任》ではない。憲法上、そのようなことはできない。

現在、大統領は欠位(空席)や有故(事故)状態ではない。よって誰も大統領の権限を代行することはできない。

にもかかわらず、与党代表が大統領の退陣を示唆し、《大統領が国政に関与しない》と発言したのは、さらなる憲法論争を招く不必要で大きな《失策》だと言える。

■ 尹大統領は自ら事態収拾に動くべきだ
現在、尹大統領が直接的に事態を収拾する必要がある。主権者(国民)から権限を委任された大統領だけがこの役割を果たせる。

戦争において、敵の指導者を冷静に尊重せず、激情に駆られた判断をすることは敗北への道である。しかし今の時点では、冷静な判断と責任ある行動で指導者としての姿を最後まで示す機会が残されている。

野党は国民を扇動して政治闘争の餌食にするべきではない。普通の市民は、政治的妥協を通じて政局が安定することを望んでいるはずだ。

さらにイ教授は、2024年12月12日、以下の説明を追加されました。

1. アメリカ連邦最高裁の判例による大統領の免責特権
2023年07月01日、アメリカ連邦最高裁判所は6対3の判決で、「大統領の公式的な行為(official acts)」に対する刑事訴追について、《免責特権》を認める判決を下した。この判決において、連邦最高裁は以下の3つの概念を区別した。

第一に、
大統領の《最終的かつ排他的な憲法上の権限行使(his conclusive and preclusive constitutional authority)》は《絶対的免責(absolute immunity)》である。

第二に、
大統領の《職務に関連するすべての公式的な行為(all his official acts)》は《推定的免責(presumptive immunity)》である。ただし、この推定は反対側が覆すことができる。

第三に、
大統領の《職務に関連しない非公式的な行為(unofficial acts)》については、免責は認められない。

以下は、この事件(Trump v. United States)の判決要旨の原文である。

Under our constitutional structure of separated powers, the nature of Presidential power entitles a former President to absolute immunity from criminal prosecution for actions within his conclusive and preclusive constitutional authority. And he is entitled to at least presumptive immunity from prosecution for all his official acts. There is no immunity for unofficial acts.

訳:
三権分立の憲法構造の下で、大統領権限の性質に基づき、大統領は「最終的かつ排他的な憲法上の権限」の範囲内で行った行為について、刑事訴追に対する《絶対的免責特権》を有する。

また、すべての公式的な行為について、少なくとも《推定的免責特権》を有する資格がある。しかし、非公式な行為についての免責特権は認められない。

連邦最高裁は、大統領が免責されるべき理由を以下のように説明している。

「大統領の公式的な行為を理由に刑事訴追することは、単に証拠を探す以上に、政府の権限と機能を侵害するリスクがはるかに高い。…もし、大統領が潜在的な訴追のリスクにさらされ、自らの職務遂行を恐れながら行使することをためらうようになれば、それは《効果的な政府機能に対する特別な危険》を引き起こすことになる」

2. 尹錫悦大統領の戒厳宣告について
今回の尹錫悦大統領の戒厳宣告およびその実行は、その判断が誤っていた可能性があるとしても、憲法が大統領にのみ付与した非常大権である。国家的な危機に対する判断は、完全に大統領の裁量に委ねられている。

上述したアメリカ連邦最高裁の法理に照らし合わせれば、大統領の判断行為は《絶対的免責》の対象となるべきである。

したがって、韓国の法執行機関はこの点を深く考慮すべきである。軽率な対応により、国家全体を危機に陥れる行為を行ってはならない。

3. 1980年の5.17非常戒厳との比較について
1980年の5.17非常戒厳が内乱罪として処罰された事例と今回の戒厳宣告を、同じ論理で比較する主張が多く見られる。

しかし、これらは本質的に異なるケースである。

1980年の場合、戒厳を事実上主導したのは軍人勢力であり、彼らは大統領の身分ではなかった。

当時の戒厳実行過程では武力が行使され、多くの犠牲者が出た。

この状況と今回の尹錫悦大統領による戒厳宣告を比較するのは、無理やり異なるものを結び付けようとする行為に等しい。これは言語や法的概念の混乱を招くだけである。

今回の大統領による戒厳宣告と実行において、判断の誤りや要件を満たしていなかった点があったとしても、《大統領による国家的危機状況に関する判断ミス》を処罰することは許されない。

それは憲法システムに危険な前例を残すことになる。

将来的に国家的危機が発生し、防衛戦争のために戒厳を宣告する必要がある場合、大統領がそのリスクを恐れて戒厳宣告をためらうことになれば、より大きな国家的危険を招くことになるだろう。

憲法事件を分析する際には、目の前の事例だけにとらわれず、より重要な国家利益を見逃さないようにする必要がある。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が「非常戒厳宣布の必要がある」と判断して、実行し、その判断がたとえ誤りだったとりしても、その過誤について違法性にはありません。

尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の判断が「内乱罪」に適用される――という主張は間違っています。

李在明(イ・ジェミョン)とバカの群れこそ吊るされるべき

イ先生が指摘していらっしゃるとおり、

「野党は総選挙で得た多数票を武器に、大臣や検察官、放送通信委員長、監査院長など高位政府官僚を《片っ端から弾劾訴追》し、《職務を停止》させた。これは韓国政治史、さらには世界の議会史でも前例がない。

さらに、検察、警察、監査院、そして大統領府の特別活動費や特定業務経費を《全額削減》し、実質的に《機能を麻痺させる》試みを行った。《予算議決権》は国会の権限だが、これは正常な権限行使とは見なせない」

「しかし野党は、臨時会期を細かく分けて毎週新たに弾劾訴追案を提出する計画を明らかにしており、これは議会制度を崩壊させかねない危険な行為である」

――と、韓国最大野党『共に民主党』が行っていることこそが、明らかに憲政上許しがたい逸脱行為です。

バカの群れが韓国の憲政を揺るがすことを行っているのです。それに賛辞を送って、ローソクを振っている人々をどう評せばいいのでしょうか。もちろん――バカの群れというしかありません。

また、最大野党『共に民主党』を率いる李在明(イ・ジェミョン)さんの方が、法理的には国家保安法違反です。

韓国の法律が定める主敵・北朝鮮にお金を送っていたのですから。何度もご紹介しますが、国家保安法の定める利敵罪に対する罰は「極刑」です。これを放置して、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の行為は内乱罪と主張するのです。

「韓国と韓国人は根本的に間違っている」だから何もかも「うまくいかない」

また注目していただきたいのは、イ先生の「政治において絶対的な善(良い行為)は存在しない。それにもかかわらず、大統領や与党・野党は自らを善(良い)とし、相手を悪(悪い)と見なして極端な行動に走っている」という指摘です。

これは御大の、

政治には正誤は存在するが、善悪は存在しない。現実の要求より道徳が上位にたつことなど、あってはならない

と同じことをいっています。

韓国、韓国人は何もかもを「自分が善」であるとして、「悪である他者」を排撃します。その悪の代表格が「日本(日本人)」です。事実や合理的な判断は、「日本」を相手にすると働きません。

自分が善であるから、日本は悪いに決まっている――というわけです。

つまり韓国人は、政治・外交、経済もそうですが、根本的なところで認識が間違っているのです。だから何もかもうまくいかないのです。

日本が朝鮮半島を近代化しようとした全ての努力は――まったくの無駄でしたね。100年以上掛かりましたが結果が出ました。

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(吉田ハンチング@dcp)

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