韓国には「信用保証基金」という機関があります。
これは、「もし融資を受けた人がお金を返済できなくなったらウチが建て替えますよ」という機能を持つ機関です。
「いいから小商工人に融資しろ!」「まあ代位弁済があるなら……」
日本でも、賃貸物件を借りるときに、保証人を立てる代わりに「うちが担当しますよという会社」を使うことがあるでしょう。
簡単にいえば、債務者に代わって債務を返済するという「代位弁済」を引き受ける会社です。
Money1の先記事でもご紹介したとおり、コロナ禍で経済が傾いたので、「小商工人向けに信用枠の拡大」を行いました。このとき担ぎ出されたのが『信用保証基金』です。
韓国の金融当局は――いいからお金に困っている小商工人にお金を貸し出せ! 債務が滞ったら『信用保証基金』が返済してやるから――としました。
銀行からすれば「まあ、そういうならやりますけど……」です。コロナ禍で傾いてしまった小商工人に融資するなど、普通なら危なくてやりませんが、公的機関が代位弁済を行うなら、まあ仕方ないから貸しますよ――です。
当たり前ですが、銀行が貸したお金が焦げ付けば――その分だけ『信用保証基金』が代位弁済しなけれればならず、「返せません」が増えれば増えるほど――『信用保証基金』が傾きます。
傑作なことに、実際『信用保証基金』が「もう無理っス」になったと判明しました。
3.5兆ウォンいります! 政府は支援すべき
『信用保証基金』と『韓国資産管理公社』が「2024~2028年 中長期財務計画」を企画財政部に提出しました。
これが「もう無理っス」という内容です。
2028年までに総額3兆4995億ウォンの政府支援が必要だと明らかにしました。
『信用保証基金』は、「小規模事業者の委託保証」※の代位弁済などに2兆5,275億ウォンとしました。
一方の『韓国資産管理公社』は、小規模事業者の債務調整プログラムである「新たな出発基金」事業を続けるためには「9,720億ウォン」が必要としました。
※小規模事業者が銀行から最大4,000万ウォンまで融資を受けられるようにする事業。ケツモチさせられたのが『信用保証協会』です。
『信用保証協会』と『韓国資産管理公社』の合計で「3兆4,995億ウォン」――約3.5兆ウォンいる――という悲鳴です。
銀行のケツモチに公的機関を使ったわけですから、当然韓国政府はこのお金を用意しなければなりません。
なぜ悲鳴が上がっているからというと、本来のメイン業務である「代位弁済」の金額が異常なほど膨らんだからです。以下が『信用保証協会』の代位弁済金額の比較です。
2022年は「1兆3,599億ウォン」だったものが、2023年には「2兆2,759億ウォン」と約1.7倍に増加しました。
それだけお金を借りても(借りることができても)返済できない人が増加しているわけです。『信用保証協会』で代位弁済しないといけないわけですので。
Money1で何度ご紹介したか分かりませんが、韓国では徳政令を出しても同じです。モラルがなく、借金してもいいや、返さなくてもいいや――ですから、何をしても無駄なのです。
ただただ借金が積み上がっていくだけです。
韓国の金融市場は本当に不毛です。
(吉田ハンチング@dcp)