中国で「美容業界の女帝」といわれるカリスマ女性が、長年にわたってポンジスキームの詐欺(ねずみ講)を行っていたことが分かりました。
中国美容業界の女帝・李金鳳とは?
『深圳艾美系』(艾美(Aimei)グループ)創業者の李金鳳という人物です(下掲写真)。
2024年09月13日、中国深圳市羅湖区検察院は、李金鳳さんが傘下の『広東艾美美業化粧品集団有限公司』を通じて、違法に広く資金を集めた疑いがあるとして、検察院で審査・起訴が行われていることを発表しました。
李金鳳さんは美容機器代理店からスタートして、20年をかけて、複雑なビジネス形態と広範囲にわたるチャンネルを持つ艾美系美容・健康産業帝国を築き上げました。
『艾美グループ』は「深セン企業500強」にランクイン、279位に位置付けられるほどに成長したのです。
個人的には『深圳市美容業界発展促進会』会長、『広東省ハイテク産業商会』副会長、『中国企業評価協会』常務理事など、輝かしい肩書を有するまでのしあがりました。
また2022年09月から2024年03月まで『長薬控股』(上場企業)会長を務めています。
李金鳳さんを要約すれば――高額な料金を支払ってもらえる美容業界を舞台に、「成り上がり」を実践した女傑――です。
会員から100億元を集めた!――と目される
検察は李金鳳さんがポンジスキームの詐欺行為を長年にわたって働いてきたとし、起訴しました。
李金鳳さんは、高金利のリターンを餌に、全国1万人を超える会員から資金を集め、ポンジスキームの「新規の投資資金で旧投資者に返済」を行っていました。
「3カ月から2年の期間、『前払い貨款』として一定の金額を預けると、高い利回り(年利28~36%)得られる」と約束していました。
利率だけ見ても実現不可能なことが分かりますが、案の定、ただの「ねずみ講」でした。
なにより金融セクターでもないのに勝手に資金を集めて利払いを行っていたわけですから、この時点で(さすがの中国でも)法律違反です。
2022年には投資者への元本や利息の支払いが滞るようになりました。『艾美グループ』で働いていた人は、2022年03月から給与が未払いになっていると述べています。
『艾美グループ』は各部門に対して「自給自足」を指示し、これ以上外部から資金を注入できなくなった――とのこと。
被害者は全国各地に広がっており、特に『艾美グループ』が支店を持つ北京、上海、広州、深セン、成都の5つの都市に集中。集められた資金は穏当に見積もっても100億元に達する――とのこと。
100億元というと、ざっくり20倍でも2,000億円です。さすが大陸、ねずみ講もスケールが大きいです。
驚くのは、このグループが
・美容業
・医療美容
・飲食
・美容トレーニング
・デジタル技術
と手広く事業を手掛けていたこと。そのため会員数が膨れ上がり、だまされる人が増えたものと推測できます。
ちなみに『艾美グループ』は2019年には海外進出、『US Ame』社を設立しました。同社は、国内外の統合エコシステムの一環として、ロサンゼルスに2万平方フィートの海外倉庫および多機能展示ホールを所有。
合衆国の製品を中国市場に提供するプラットフォームおよび全方位的なサプライチェーンサービスを構築しています。
手広く事業拡大をしてきたのですが、とうとう「お縄」となりました。
(吉田ハンチング@dcp)