韓国の建設業界は深刻な不況に陥っています。例の不動産PFの件もありますが、投資も進まず、これがGDP成長率の足かせになっています。
なにせまともな内需が不動産しかない上に国富のほとんどが不動産という、実にいびつな国なので、これが伸びないことには韓国の経済成長もおぼつかないのです。
先に少しだけご紹介しましたが、韓国の建設会社は海外に目を向け、外国での開発案件を受注しようとしてきました。UAEやサウジアラビアなど、原発や武器輸出で粉をかけている中東はもちろんのこと、トルクメニスタンなどにもリーチしていました。
しかしこれが――結構悲惨な結果となっています。
『Chosun Biz』が「韓国の建設会社が困難に直面している」というリポートを出しているのですが、これを以下に引いてみます。
『サムスンE&C』
アルジェリアの「精油プラント工事」 ⇒ 契約解除『現代エンジニアリング』
トルクメニスタンの「ガス工場探査・設置工事」 ⇒ 本契約締結が遅延『大宇建設』
トルクメニスタンの「ビニール工場工事」 ⇒ MOU締結済みの2件中1件が受注失敗『現代建設』
サウジアラビアの「アミラル石油化学プラント」 ⇒ 契約金額縮小
外国で契約を締結して仕事を行い、お金を回収するのがいかに難しいのかが分かるような話です。実際には、海外での建設事業の受注額も減少してきました。
2020年:351億2,917万ドル
2024年:285億2,586万ドル
※データ出典:『海外建設協会』
2024年はまだ「10月末時点」ですが、対2020年比で約18.8%減少です。
Money1でも少しだけご紹介しましたが、韓国政府は2024年に受注目標を「400億ドル」としていましたが、この達成は恐らく不可能です。
『朝鮮日報』の報道によれば、『海外建設協会』の関係者が「中東やウクライナなど地政学的な不安が長期化し、高金利・高インフレの状況で経営全般に不確実性が増大しているため、国内建設会社が積極的に海外受注に乗り出すのは難しい状況だ」と述べた――とのこと。
――ですので、海外で建設事業を受注して大不況を乗り越えるというのは、やはり幻で終わりそうです。
(吉田ハンチング@dcp)