2022年05月09~12日、韓国産の暗号資産「ルナ・テラ」の価値がゼロになって――阿鼻叫喚の地獄絵図という事態がありました。
↑05月09日までは「テラ」も高値を維持していました。ところが翌日に大暴落、価値はほぼゼロになりました(チャートは『coinmarketcap.com』より引用)。
この暗号資産を作ったのは、韓国人クォン・ドヒョン(別名ド・クォン:Do Kwon)という人物で、「韓国のイーロン・マスク」という異名を取ったこともあります。
テラおよびルナは「Terraform labs」という会社によって発行・運営されていました。
世界の投資家に巨額の損失(400億ドルが飛んだとされています)をもたらしたクォンは脱兎のごとくトンズラ。
シンガポールにあった事務所も放り捨てて行方不明になりました。
アメリカ合衆国の証券当局、司法省から指名手配され、同時に韓国当局も身柄を確保すべく動きました。
↑逃亡生活の末にモンテネグロで御用となりました(2023年03月)。
しばらく行方不明だったのですが、偽装パスポートを所持していたことからモンテネグロで逮捕拘束されました。
ここまではMoney1も情報が入るたびにご紹介してきました。ところが、モンテネグロ当局が、身柄をどの国に渡すか――をはっきりさせませんでした。
合衆国なのか、韓国なのか――です。
メリック・ガーランド司法長官は、
「テラ・ルナの価値暴落により、合衆国国内だけで400億ドル(約6.3兆円)以上の被害が発生した」
「この問題について合衆国の法廷で責任を取るべきだ」
と述べ、合衆国への引き渡しを強く主張。
クォン本人は「韓国を希望」しており、これは韓国の「収監」がいい加減なものだからだと思われます。
しかし、結局は合衆国が綱引きに勝ち、すでにクォンさんの身柄は移送され、2025年01月02日、初公判が行われました(ニューヨーク南部連邦地方裁判所)。
初回なので罪状認否ですが、クォンさんは「無罪」を主張しました。
これに対して、合衆国検察局は79ページに及ぶ大部の起訴状を裁判所に提出。商品詐欺や相場操縦の共謀などの既存の8つの容疑に加え、「資金洗浄の共謀」容疑を追加しました。
実際、Money1でもご紹介したとおり、資金洗浄の痕跡はすでに発見されています。
司法省は「9つの容疑がすべて有罪と認められた場合、最大で計130年の刑期が科される可能性がある」としています。
韓国のイーロン・マスクともてはやされた人物ですが、シャバに出てくるのも難しいことになりそうです。
(柏ケミカル@dcp)