韓国「石油化学企業の危機問題」政府は「16兆の債務は知らん。融資支援しないから9月まで自分で耐えろ」

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韓国の石油化学産業の企業が経済的な窮地に陥っております。

産業通商資源部が「再編プランをスグに出す」としたところまでは、先の記事でご紹介しました。

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なにせ金正寛(キム·ジョングァン)産業通商資源部長官が自ら「石油化学産業の危機」と認めるほどですので、「さあ、どんな絵図を出すかな?」だったのですが……。

2025年08月20日、産業通商資源部は「石油化学産業再跳躍のための産業界事業再編自律協約式」を開催(以下がそのプレスリリース)。

一応全文を和訳しますが、面倒くさい方は飛ばしていただいても大丈夫です。次の小見出しまで進んでください。

◆「石油化学産業構造改編」 民官がともに本格始動

石油化学業界 事業再編 自律協約締結…ただ乗り企業には断固対応 –

産業通商資源部(金正寛(キム·ジョングァン)長官、以下産業部)は20日14時40分、ソウル大韓商工会議所で開かれた「石油化学産業再跳躍のための産業界事業再編自律協約式」において、業界の事業再編意思を確認し、政府の産業構造改編方向を明らかにした。

政府はこの日、産業競争力強化関係長官会議を通じて、

▲過剰設備の削減および高付加価値スペシャルティ製品への転換、
▲財務健全性の確保、
▲地域経済・雇用への影響最小化

など「構造改編3大方向」を示し、さらに

▲3つの石油化学産業団地を対象にした構造改編の同時推進、
▲十分な自助努力および妥当性のある事業再編計画の策定、
▲政府による総合支援パッケージの用意

といった「政府支援3大原則」を確定した。

本日の協約式は、政府のこうした立場に歩調を合わせ、石油化学業界自らが構造的不況を克服し未来競争力を確保するために推進されたものである。

協約式において石油化学業界は、産業界自律コンサルティングの結果を反映し、

▲270万~370万トン規模のナフサ分解施設(NCC:Naphtha Cracking Center)の削減、
▲高付加価値・環境配慮型製品への転換、
▲地域経済および国民経済に与える影響の最小化

などに努めると表明した。

今回の自律協約を基に石化企業は、設備削減・高付加価値転換による競争力強化、財務構造改善などを含む事業再編計画を年末までに策定することにした。

今回の協約は、石油化学産業が構造的転換期を迎える中で、

▲産業界が自律的かつ先制的に事業再編の意思を示したものであり、これまでの「持ちこたえ戦略」から脱却し、

▲構造改編に本格的に舵を切ったという点で大きな意味を持つ。

政府も今後、業界が提出する事業再編計画の妥当性および企業の自助努力を総合的に検討した後、これに必要な金融・税制・R&D・規制緩和などの支援パッケージを整備して後押しする予定である。

これにより、本格的に事業再編が迅速に履行されるよう、民官が共に推進していく計画である。

特に産業部は、地域経済および雇用衝撃の緩和のため、去る05月に麗水市を産業危機先制対応地域に指定したのに続き、瑞山市についても追加指定を検討中である。

また、雇用部は最近「雇用危機先制対応地域」制度を新設し、08月19日雇用政策審議会を通じて麗水市を指定することを決定した。

今後麗水市は雇用維持支援金、生活安定資金融資などに関する要件および水準を変えて支援を受けることができるようになる。

* 産業危機先制対応地域:地域の主要産業の著しい悪化が予想される地域(麗水市 5月1日指定)
* 雇用危機先制対応地域:地域の雇用事情が急激に悪化する恐れがある地域(7月31日 制度新設)

金長官は、韓国の石油化学産業が未来競争力を持つためには、大胆かつ迅速な構造改編こそが唯一の突破口であると強調し、「今やらねばならない」という切迫した気持ちで企業も事業再編に積極的に取り組んでほしいと訴えた。

また金長官は、産業界が一丸となって誠意をもって努力すれば、政府もそれに応じて後押しするという「先に自助努力 ― 後に政府支援」の原則を強調し、責任ある自助努力なしに政府支援で延命しようとしたり、他社の設備削減の恩恵だけを享受しようとする“ただ乗り企業”に対しては断固として対応すると述べた。

⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「「石油化学産業構造改編」民館が共に本格始動」

「まず先に自助努力しろ!」政府の支援は後だ――という話

まずご注目ただきたいのは、「再編自律協約式」というおかしなタイトルになっていること。

石油化学企業の再編を行うことに賛同するよな? じゃあサインして」――という会合だったのです。

次に、この会合の主旨は、経営が危なくなっている企業が、まず自分で自助努力を行え!です。

再編プランを出させ、それを政府が承認した後に、「必要な金融・税制・R&D・規制緩和などの支援パッケージを整備して後押しする予定」としています。

「支援は後だ」はいいとしても、「後押しする予定」というが泣かせます。

「支援しないかもしれない」という意味ですから、企業側からすれば「えっ?」でしょう。

また、「支援パッケージにタダ乗りしようというようなヤツは許さないからな」と強調しています。面白いのは――、

「14兆は知らんがな」と政府が宣言した!

――石油化学会社との非公式な懇談会での金正寛(キム·ジョングァン)長官の発言です。

韓国メディアの報道によれば、金正寛(キム·ジョングァン)長官は以下のように述べたとのこと。

市場性借入14兆ウォンと外貨証券2兆ウォンは企業が自ら返済しなければならない。

この部分は政府にも対策はない。流動性に問題があったとしても、少なくとも来月までは自力で耐えるべきだ」

「日本は石油化学産業の構造調整に10年かかったが、われわれは3~4年以内に終わらせなければならない」

「この十数年間、各企業が13兆ウォンを配当として持っていき、そのうち大株主の取り分が約7兆ウォンになる」

「金融界では一部の企業に対して非常に悪い見方をしており、それは破綻の道へ進むシグナルだ」

すごいのは、市場からの借入金14兆ウォンと外貨建て証券を発行して負った債務2兆ウォン、計16兆ウォンについて、「政府は支援しねーから自分でなんとかしろ」と言い切ったことです。

流動性が苦しくとも(つまり運転資金・キャッシュフローが厳しくなっても)、少なくとも来月までは自力で耐えろ――と明言しました。

政府による短期間での融資支援はないよ」と突き放したわけです。

また「3~4年以内に再編を終わらせなければならない」のですから、「期限は2029年」です。

これは「石油化学業種の企業に対する大変な圧力」です。

気になるのは「少なくとも来月までは自力で耐えるべきだ」です。なぜ、2025年09月まで自力で耐えろ――なのでしょうか?

なぜ2025年09月まで耐えろ――なのか?

韓国の石油化学業界は2025年8月に満期を迎える会社債やCP(企業手形)が一定規模あると報じられています。

政府が「市場性借入14兆ウォンと外貨証券2兆ウォンは自力で返済せよ」と明言したのも、この返済時期が迫っているからだと考えられます。

つまり「08~09月の返済の山場をまずは自力で越えろ」ということです。

また、石油化学企業は「年末までに事業再編計画を提出する」ことになっています。

政府・金融当局は「自律協約」の仕組みを09月から本格的に回す予定で、今はまだ制度運用前の“空白期”に当たります。

さらには、韓国政府は下半期(09月)に入ると来年度予算案の国会提出・審議が本格化します。

産業通商資源部や金融当局が「支援パッケージ」を動かすのはこれ以降になるため、「支援は早くても09月以降」という意味が込められていると思われます。

――ともあれ、韓国経済は風雲急を告げる事態になってきました。

先にご紹介したとおり、石油化学企業は韓国の輸出の一角を支えてきました。これが急速に傾いており、韓国政府は再編には前向きなものの、基本「自助努力が先だ」――という態度です。

さて、石油化学企業の再編はどうなるでしょうか。要注目です。

(吉田ハンチング@dcp)

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