事態が急ピッチで進んでいます。
台湾の来年度「民国紀元115年度」(=2026年度)の中央政府総予算案に、史上最高額の国防予算「9,495億台湾元」が計上されています。
興味深いのは、この国防予算の中に「ドローン船:1,300隻」の調達が記載されていることです。
ドローン船1隻当たり1,000~5,000万台湾元と推測されており、1,300隻調達するとすれば、130~650億元(日本円で約6,300億円~約3.15兆円:2025年09月03日のレートで換算)が必要になります。
台湾メディアの情報によると、軍は落札した造船業者に対し、5年以内に順次引き渡すことを求める予定――とのこと。
1年当たり260隻を製造・納品しなければならず、これは超がつく鉄火場の仕事になります。
台湾のサプライチェーンのドローン船制裁能力がそこまであるのか?――なのですが、台湾における最大の国営造船大手『台灣國際造船公司』(CSBC:Corporation,Taiwan)はじめ、台湾の造船に関わる総力が試されることになるでしょう。

↑『台灣國際造船公司』と子会社である『台船動力科技』が中心となって、地元の関連企業と連携して新たに研究開発したドローン船「奮進魔鬼魚号(Endeavor Manta)」。2024年初頭に開発がスタートし、正式な発表は 2025年03月25日、高雄市で開催された発表会で行われました。
↑軍用「奮進魔鬼魚号」を紹介する動画。YouTube『壹電視NEXT TV』チャンネル「台船軍用級「奮進魔鬼魚」 亮相主打不對稱對戰」。
ちなみに「奮進魔鬼魚号」のスペックは以下のようなもの――となっています。
三胴体(トリマラン)型で、台湾海峡の荒波に耐え、高速航行でも高い安定性を確保。
サイズ:
全長……約8.6m
船幅……約3.7m
満載排水量……約5トン。
推進性能:
最高航速は35ノット以上(時速約65km)。
積載能力:
1トン以上のペイロードを有し、軽魚雷や高威力爆薬を船首や両舷に搭載できるよう設計。
通信・制御方式:
4G、衛星通信、射頻(UHF/VHF)の多様な通信方式に対応。AIによる目標識別、自主航行、群制御、反劫持・自爆機能などを搭載し、高度な戦術運用性を備える。
サプライチェーン:
中国供給網(レッドチーム)から独立し、衛星通信と舷外機を除き、ほぼすべての部品が台湾製または商業規格部品を使用。
台湾軍からの公式発注はまだなのですが(予算案がまだFIXしていない※)、造船企業は「さあ来い」と手ぐすね引いて発注を待っています。
※予算計上済み ⇒ 可決待ち ⇒ 入札公告が近い(今ココ:2025年09月03日)
このドロー船大量生産の仕事はきっと楽しいことでしょう。国を守るため大事な仕事ですから。
中国の台湾侵攻が行われるなら、とにかく中国人民解放軍を一兵たりとも台湾に上陸させなければいいわけで――中国の船に1隻以上のドローン船が群れをなして襲いかかるという胸踊る光景が期待されます。
10隻ぐらいできたら、(内緒で)ウクライナに供給してあげて、実戦による能力証明(combat-proven:コンバットプルーブン)を積むといいかもしれません。
収集した実戦データを提供するとえば、アメリカ合衆国も内々で支援してくれるかもしませんよ。台湾防衛にどのくらい使えるかが把握できるわけですし。

(吉田ハンチング@dcp)






