駐日中国大使が「中国から資金流出はない」と強弁。直接投資「1,525億ドル」流出なのに?

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駐日中国大使である呉建豪さんが、『ビジネスワールド』のインタビュー取材に応じ、駐日大使館がその受け答えについて記事にしています。


↑2024年03月01日に公開された駐日中国大使館の記事/スクリーンショット

⇒参照・引用元:『駐日中国大使館』公式サイト「呉建豪駐日大使が『ビジネス』誌の独占インタビューに応じた」

呉大使が「言いたいこと」を「言いたいだけ」述べたという、大変に長い記事なのですが、興味深いところ引用してご紹介してみます。

(前略)
2.質問:
国際社会は中国経済についてさまざまな見方をしており、不動産業界のリスクを懸念しています。

日本はバブル崩壊を経験しており、中国が「第二の日本」になるのではないかとの見方もある。現在の中国の経済状況についてどう思いますか?

呉江豪大使:
中国は非常に大きな経済大国であり、中国経済を見る際には、深い視点を持って俯瞰的に観察し、現状と長期的な傾向を客観的に把握する必要がある。

数十年にわたる実践の結果、伝統的な西側経済理論を使って中国の驚異的な発展を説明するのは難しいことが分かった。

現在も将来も、一部の短期的かつミクロなデータに焦点を当て、中国経済を分析し判断するために西側の古典的なモデルを使い続けることは依然として不正確である。

2023年の中国経済は外圧に耐え、国内の困難を克服し、総じて好転し、GDPは5.2%成長し、依然として世界経済の成長に最も貢献している国であり続けている。

習近平国家主席が述べたように、今後の道に浮き沈みがあるのは正常なことだ。経済運営においては依然としていくつかの困難と内外の課題に直面しているが、中国の発展は不利な要因よりもはるかに有利な状況に直面しており、経済の回復と長期的な改善の基本的な傾向は変わっていない。

中国経済に対する自信はさまざまな側面から生まれています。

第一に、社会主義市場経済の制度上の利点があり、市場経済の強みだけでなく社会主義制度の優位性も発揮され、中国経済の長期的かつ安定した発展を制度的に保証している。

第二に、非常に大きな市場があることです。中国の人口は14億人、中間所得層は4億人以上です。今後10年間で8億人に達すると考えられます。消費者の需要は膨大であり、成長の可能性は巨大です。

第三に、裾野産業体制の充実であり、中国は国連産業分類の全産業を網羅する唯一の国であり、2022年には製造業の付加価値が世界シェアの約3割を占めるようになる。

完全な支援産業システムによる供給の優位性は今後も強力であり、中国経済にとって内生的なものとなるだろうが、モチベーションが重要な役割を果たす。

第四に、質の高い労働力が多数存在することです。

中国の「人口ボーナス」は「人材ボーナス」に改善中である。

人材総数、研究開発人材総数は世界第1位、高度人材は6,000万人以上、大学生は1,000万人以上で、これらは中国の発展のユニークな特徴であり、利点です。

第五に、グリーン変革は実を結んでおり、過去10年間、中国は6.6%の経済成長を支え、年間平均エネルギー消費増加率は3%であり、エネルギー源単位の減少が最も早い国の1つです。

「グリーン経済」はもはや赤字経済ではなく、新たな成長の源となっています。

第六に、科学技術イノベーション力は増加を続けており、ハイテク企業の数は約40万社に増加し、ユニコーン企業の数は世界第2位となり、2023年に付与された発明特許の数は92万1,000件となる。

以上のことから、中国は中国経済に自信を持っているのです。
(後略)

⇒参照・引用元:『駐日中国大使館』公式サイト「呉建豪駐日大使が『ビジネス』誌の独占インタビューに応じた」

遠回しな言い方ですが、「中国経済は傾いているのでは?」という質問に対して、「一部の短期的かつミクロなデータに焦点を当て、中国経済を分析し判断するのに、西側の古典的なモデルは合わない」などと言っています。

では、何をもって中国経済を測ればいいというのでしょうか。

中国経済に自信を持っている理由について、1~6まで挙げていらっしゃいますが――。

1.社会主義市場経済の制度上の利点
⇒具体的に何を指しているのか分かりませんが、習近平さんによる指導などを優先するから、市場が歪み、全うな民間企業が育たない。

2.非常に大きな市場がある
⇒人数が多いだけで中国の内需はアテにならない。そもそもが所得が低く、所得格差も大きい。1人10円ずつ買ってくれても14億円などと夢が持てたのは昔の話。本当に14億人いるのかも怪しくなってきており、これから中国では急速に人口が減る。

3.裾野産業体制の充実
⇒誇っている製造業の裾野が今、崩壊しようとしている。コロナ禍によってサプライチェーンの組み換え(脱中国)が進行し、中国の製造業は仕事がなくなりあえいでいる。

4.質の高い労働力が多数存在する
⇒その労働力を受け入れるだけの雇用がない。特に若年層の失業問題は社会不安を引き起こしかねないほど深刻。大卒者の雇用率は良くても40%程度ではないか――という推測があるぐらい。Money1でもご紹介しているとおり、その「質の高い労働力」とやらを農村に「下放」しようというのが、習近平の指導する中国の特色ある社会主義。

5.グリーン変革が実を結んでいる
⇒本当に実を結んでいるのか? 例えば、中国産の電気自動車。世界各地の市場を食い荒らそうとしており、その意味では中国にお金が入るかもしれないが、一方で中国内では過当競争が起こり、電気自動車企業がバタバタ倒産している。そもそも電気自動車自体がちっともグリーンではない。中国では電気自動車の墓場が各地で散見されるが、リサイクルもせず資源だけ使って放置というのが、中国のいうグリーンなのか。

6.科学技術イノベーション力は増加を続けている
⇒アメリカ合衆国、欧州、日本、台湾などから剽窃を続けた結果である。中国による技術窃盗は現在も続いており、これが遮断されたとき、中国の「科学技術イノベーション力」なるものは、それでも向上するのだろうか。

などなど、疑問は尽きません。

日本のビジネスマンを恣意的に、なんの説明もなく拘禁していることについては、以下のように答えています。

(前略)
4.質問:
日中経済協力には人的交流が不可欠である。

中国が「スパイ防止法」を公布した後、一部の日本のビジネスマンが中国で拘束され、日本でも不安を引き起こしていますが、このことについてどう思いますか?

呉江豪大使:
あなたが言及した関係者は、中国でのスパイ活動への関与および中国の法律違反により、法律に従って刑事強制措置の対象となりました。

中国で通常のビジネスや交流活動を行い、違法に機密情報に関与したり入手したりしない限り、問題はないことを強調しておく必要があります。

一部のメディアは、中国旅行中に散歩したり、友達とコーヒーを飲んだり、写真を撮ったりした人は拘束されると誇張していますが、これは全くの事実ではありません。

近年、中国における邦人による同様の事件が多発しているが、その多くは長年にわたり日中両国の交流協力に携わり、両国社会に一定の影響力を持っている者である。

中国で違法行為に従事するよう扇動される人々 独自の分野でそれが果たせる役割は、いわゆる「情報」の獲得よりもはるかに大きい。

全体として、中国は今後も両国間の人的交流と協力を精力的に提唱し、支援していくつもりであり、この点に変わりはない。

個人の違法行為と通常のコミュニケーションや協力は全く別のものであり、混同すべきではありません。

中国は引き続き、中国国内のスパイ活動に対し法に基づき真摯に対処していく。

驚くのは「長年にわたり日中両国の交流協力に携わり、両国社会に一定の影響力を持っている者」が多く捕まっている――と大使が認めていることです。

この言及は『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』の著者である鈴木英司さんの指摘にも符号します。中国との付き合いが深くなるに従って、身は危険になるのです。

しかしながら、「初めて行くから大丈夫だろう」などとタカをくくるのも危険です。何をされるか分からないのが中国で、しかも日本の外務省は何もしてくれません。ですから、中国には絶対に行かない方がいいのです。

面白いのは以下の部分です。世界の中国離れが起こっていることへの反論です。

(前略)
中国は市場経済であり、外資系企業が出たり入ったりするのは正常な現象です。

一部の外資系企業が中国から撤退したのは事実ですが、いわゆる「逃亡の波」(原文は「逃离潮」)はありません。
(後略)

いわゆる「キャピタルフライト」は起こってないよ、と言いたいようです。果たしてそうでしょうか?

先にご紹介したとおり、中国の直近の国際収支統計によれば、直接投資において2023年は純流出で「1,525億ドル」にもなるのです。これは資本流出とはいわないのでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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2024年03月03日に公開予定だった記事が、なぜか全部「指定時間に公開されない」という現象が起こりました。Money1に来ていただいた読者の皆さまに深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。

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