米国は“韓国の李在明政権”を敵視している。「しっぺ返し」の現実

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アンカーは敵視している――というタイトルにしていますが、「合衆国は韓国を味方とは見てはいないのでは?」です。

しつこくご紹介している「アメリカ合衆国ジョージア州の工場建設現場にカチコミ捜査が入って、韓国企業に勤務する韓国人が当局に300余人逮捕拘束された」という事件です。

韓国で大問題になり、世界的も大きく報道されています。

先にご紹介したとおり、2025年09月07日()、韓国の大統領室は「釈放のための交渉を終えた」とし、「行政手続きは残っているがそれが終わり次第、チャーター機を送り帰国させる」と述べました。

このカチコミ捜査はかねてより立てられていた作戦で、合衆国メディア『ABC』によれば、「裁判官発付の捜索令状は“数カ月に及ぶ捜査”に基づくもの」と『HSI』の幹部の説明を引用しています。

開示済みの「令状原本」は、以下のようになっており、令状の日付と執行期限については、発付は「08月31日」(Date and time issued: 08/31/2025 5:05 pm)、執行期限は「09月14日」(execute this warrant on or before September 14, 2025 (not to exceed 14 days))となっています。


↑開示されている逮捕執行令状(PDFで15ページ)。文書にはターゲットの人物4名が写真付きで記載されています。発付の日付は「2025年08月31日」、執行期限は「2025年09月14日」です。

タイムラインから何が見える?

それにしても、同盟国の韓国の大手企業に、史上最大規模のカチコミ捜査が行われるというのは、尋常ではありません。

タイムラインを確認してみましょう(現地時間)。

2025年08月23日(土)
訪日していた李在明(イ・ジェミョン)さんが(何を言っているのかまったく分からない)石破茂首相と日韓首脳会談を行う。夕食会が催される。

2025年08月24日(日)
韓国李在明(イ・ジェミョン)の特使団が中国・王毅外相と面談
(朴炳錫(パク・ビョンソク)特使団団長から習近平あて親書が渡される)

李在明(イ・ジェミョン)さんはアメリカ合衆国に向かう飛行機内で『アメリカにいわれても譲れないことは譲らない」と怪気炎を上げる。

2025年08月25日(月)
午前9時20分:アメリカ合衆国のトランプ大統領がTruth Social(トゥルースソーシャル)に「韓国で一体何が起きているのか? 粛清か革命のように見える。そんなことがあっては、そこでビジネスをすることはできない」と投稿しました。

正午過ぎ:米韓首脳会談が開催される

ホワイトハウスは2025年09月07日現在もFact Sheetを出していません。
これは異例の対応です。

例えば、バイデン政権下(2021年文在寅訪米、2023年尹錫悦(ユン・ソギョル)訪米) の際には、ホワイトハウスは「Joint Statement(共同声明)」や「Fact Sheet」 を出して、協力分野を細かく列挙していました。

本当に米韓首脳会談(summit)を行ったとトランプ政権が認めているのかすら覚束ない現状といえます。ただし議会は公式文書内で「The August 2025 U.S.–South Korea Summit」と書いています。

2025年08月31日(日)
捜査令状が発付(捜査期限は09月14日)

2025年09月03日(水)
中国・北京で軍事パレードが行われる。
この閲兵式に韓国から禹元植(ウ・ウォンシク)さんが参加。禹元植(ウ・ウォンシク)さんは現職の韓国国会議長です。

「韓国国会議長(국회의장, Speaker of the National Assembly)」は、韓国の憲法上・制度上で 大統領に次ぐ高位の公職 と位置付けられています。

つまり李在明(イ・ジェミョン)さんは韓国のNo.2の高位公職者を中国に送って、自分はアメリカ合衆国に行く代わりとしたのです(合衆国に行って中国に蹴られるのが嫌なので)。

2025年09月04日(火)
アメリカ合衆国ジョージア州の工場建設現場にカチコミ捜査を実施。

このようにタイムラインを並べてみると、合衆国は「韓国が行ったこと」に対するしっぺ返し(Tit for Tat)を行っているように見えます。

“Tit for Tat strategy(しっぺ返し戦略)”はしばしば最強の戦略といわれます。長くなるので踏み込みませんがこれにも負け筋があります。

そもそも第2期トランプ政権は、左派・進歩系の李在明(イ・ジェミョン)さんの政権を信用してはいませんが、上掲の行動のとおり「信用できない」が故に、こいつがやったことに逐一しっぺ返しをしてやる――と行動しているのではないでしょうか。

「対米投資についてまだまとまっておらず」「中国にも謝謝という政権」をぶん殴ってやるという姿勢を合衆国はとっており、つまり「味方ではない」と見ていることの証左です。

韓国の大統領室は「米韓首脳会談は極めてうまくいった」というていを(いまだに)装っていますが、実はそんなものではない――と考えるのが至当です。

早い話が、「合衆国にも謝謝、中国にも謝謝」という実用外交なるものが、合衆国には通用しない――ということです。

国内政治しか経験のない李在明(イ・ジェミョン)さんに、覇権国家・合衆国が「国際政治」の現実を突きつけている――ともいえます。

これは日本人も肝に銘じなければならないのですが、国際政治には「甘え」など微塵も通用しないのです。

そこにあるのは「生きるか死ぬか」であって、誰かに頼ろうなどと考えるのは間違っています。だから5,500億ドルもカツアゲされるような結果になるのです。

合衆国は韓国のことなど「お見通し」

それからもう一つ指摘しておかなければならないのは、いかに謝謝を装おうとも、合衆国には頭のいい人がたくさんいて、韓国のコウモリ外交を憎々しく監視しているという点です。

以前ご紹介したGordon G. Chang(ゴードン・チャンさんなどは、そもそもは中国を監視する人ですが、韓国の今回の対トランプ外交については非常に辛辣な意見を述べています。

以下の投稿をご覧ください。

ゴードン・G・チャン @GordonGChang・08月27日
李在明(イ・ジェミョン)は昨日、トランプ大統領を誤導した。

特別検察官による急襲について尋ねられた際、李はこう述べた――「現在、国会が任命した特別検察官による事実調査が進行中であり、その特別検察官は私の管理下にはない」。

しかし第一に、韓国法の下では李が検察官を選任する。そして当然のことながら、彼は与党・『共に民主党』を掌握することで国会を支配している。

バート・マルコイ @bmarcois
私は李在明に対し、@POTUS(アメリカ大統領)、@realDonaldTrump を翻弄できるなどと思うなと警告した――先週、カーラ・サンズとの連名で The Daily Caller に掲載した記事の中で。

彼はトランプ大統領に嘘をつくことで「風を蒔いて」おり、その結果「嵐を刈り取る」ことになるだろう。

ゴードン・チャンさんは、Money1でもご紹介したとおり、李在明(イ・ジェミョン)さんが訪米する前に「韓国の反米大統領がワシントンに来るぞ」と米紙『The Hill』に寄稿した人物です。

米紙「韓国の反米大統領がワシントンに来る」
アメリカ合衆国メディア『The Hill』が2025年08月15日に興味深い記事を出しています。「South Korea’s anti-American president is coming to Washington」(韓国の反米大統領...

上掲は、2025年08月25日の米韓首脳会談が終わった後での投稿ですが、チャンさんは「李在明(イ・ジェミョン)がトランプ大統領にウソをいいやがった」と指摘しています。

下の投稿はBart Marcois(バート・マルコイ)さんの、同じく米韓首脳会談後のものです。

このマルコイさんは元外交官で、1988~1998年に米国務省 外交官として勤務していました。ただし、第1期トランプ政権下ではありません。

マルコイさんは東アジアの外交の専門家ではありません。専門は中東ですが、2006・2007年、韓国大使館に対し広報・アウトリーチに関する助言を提供――という経験があります。

この人もトランプ政権の姿勢を評価しており、外交官を辞めた後はエネルギー・外交関連の『MPIC』社を設立、簡単にいえば「政治系コンサル屋」で、メディアに寄稿などしています。

マルコイさんの「風を蒔いて……」という投稿には説明が必要でしょう。出典は旧約聖書「ホセア書」8章7節で、

For they sow the wind, and they shall reap the whirlwind.
(彼らは風を蒔き、つむじ風を刈り取るだろう)

から来ています。「小さな悪事や軽率な嘘が、やがて自分に大きな災難となって返ってくる」という警告です。

つまり、李在明(イ・ジェミョン)さんがトランプ大統領を誤導したが、それはやがて大きな災難を招くだろうといったわけです。これが2025年08月28日です。

――で、2025年09月04日、『現代自動車』『LGエネルギーソリューション』の合弁会社がカチコミ捜査に踏み込まれました。

その直後(2025年09月05日)のマルコイさんの投稿が以下です。

私は李在明(イ・ジェミョン)氏に、トランプ大統領を演じようとするなと警告したが、彼は聞かなかった。

今や現地の『ヒュンダイ・アメリカ』が代償を払う羽目になっている。

移民違反はずっと前から知られていたと思うが、米国は今になって法律を執行することを選んだのだろう。

なぜ今なのか?

李在明(イ・ジェミョン)氏に聞いてみるといい。FAFO(“F*ck Around and Find Out”)

FAFOは「ふざけ回ってみろ、そうすれば(痛い目を見て)分かるだろう」という意味。

考えなければいけないのは、現在の第2期トランプ政権は「韓国を味方」と見ているのかどうか――です。韓国の大統領室は「大丈夫」という態度を装っていますが、実はウラで深刻な事態が進行しているのかもしれません。

(吉田ハンチング@dcp)

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