韓国政府が非常に面白い要請を行いました。大企業に「給料を上げるんじゃない」と言ったのです。
韓国企業は「労働生産性の向上よりも賃上げの方が急である」という件です。
労働生産性の上昇より労働賃金の方が上昇率が高いと、企業は苦しくなります。製品の値段が高くならざるを得ず、価格戦闘力の喪失につながるからです。価格を上げないと、当然利益が減ります。
韓国ではG5と比較してその傾向が強い(以下記事参照)のですが、さすがに見てはおられないということで韓国政府が動きました。
『全国経済人連合会』がリポートを出してスグですので、これは驚きの速さです。
2022年06月28日、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は経済団体の長を呼んで以下のように話しています。韓国メディア『ソウル経済』の記事から以下に引用します。
「大企業の生産性を超える過剰な賃金引き上げは労働市場の両極化を拡大し、現場のあちこちで雇用のミスマッチを深めるだろう」
「私たちの経済困難を勘案して経営界で過剰な賃金引き上げを控えてほしい」
労働生産性の向上を超える賃金上昇をやめろ、とはっきり言っています。
大企業に対して「給料を上げてくれ」と政府が要請するというのは分かります。給料が増えれば消費も拡大し、経済が活性化するからです。日本でもかつてありました。
真逆の「給料を上げるんじゃない」という要請は世にもまれなことでしょう。
しかし、韓国経済にとってこれは非常に重要な、韓国経済の病根を突く指摘です。秋長官のこの異例の発言は危機感から出たものでしょう。
ただし、「給料を上げるんじゃない」が守られるかどうかは分かりません。
韓国には非常に強力な労働組合があるからです。なにせ、事実上破綻している『双竜自動車』でも賃上げ闘争が起こるくらいの国なのです。
大企業にとっては渡りに船な話ですが、労働組合と対峙する覚悟がないと実現するのは無理でしょう。
(吉田ハンチング@dcp)