韓国政府は「徳政令」で家計負債を軽くすることを企図しております。
韓国政府は決めちゃったんで「あとはよろしく」――かもしれませんが、実務を担当する側は大変です。Money1でもご紹介したとおり、bad bank(バッド・バンク)を担当するのは『韓国資産管理公社』(略称「KAMCO」)です。
「バッド・バンク」というのは、金融機関が抱える不良資産(回収が難しい貸付金や不良債権)を切り離して管理するために設立される機関または仕組みのことです。
通常の銀行(グッドバンク)から、不良債権を簿価より安い「割引価格」で買い取って、回収可能な部分をできる限り回収します。
回収の手段としては、
債務者との再交渉(返済期間延長・利子軽減など)
債務の一部免除(減免、ヘアカット)
担保資産(不動産・設備など)の売却
債権そのものを二次市場で再売却
――などがあります。
回収額が買い取り額を下回る場合、その差額は事実上「損失」となり、政府や金融システム全体で負担されます。
一方で、回収が予想より上振れすれば利益になるケースもあります。
ちなみに『中国華融資産管理』(China Huarong Asset Management Company:国有金融企業)という企業は中国最大のバッド・バンクとして知られた会社ですが、同社の頼小民元会長は汚職・重婚の罪で摘発され、死刑が執行されています。
不良債権を集積する――となると「シノギの匂いがする」というわけです。
さらにちなみに、韓国の『KAMCO』は1997年のアジア通貨危機時(韓国側呼称は「IMF危機」)には不良債権処理で中心的な役割を担いました。

『KAMCO』公式サイトは、公的資金39.2兆ウォンを投入して111.3兆ウォンの不良債権を金融機関から買い取り、回収額が基金原資を4.3兆ウォン上回ったと誇らしく書いています(上掲)。
しかし、韓国の公社の常なのですが、『KAMCO』の財務負担は大丈夫なのか?――という声が上がっています。
『KAMCO』の負債比率は急騰するぞ
何度もご紹介していますが、韓国では負債比率(負債を自己資本で割った比率)が200%を超えると「危ない」といわれます。
この10月からいよいよ不良債権の買い取りが始まりますが、2025年末時点での負債比率は「235.6%」になると見込まれています。
また2025年時点での負債は「13.2兆ウォン」、2027年には「15.6兆ウォン」に達する予定です。
不良債権を処理するバッド・バンクが飛んだ――なんて笑い話にもなりません。そもそも政府がバックにいますので大丈夫でしょうが、財務状況を好転させるために資本を増強しておくべきだろう――というわけです。
韓国メディアによると――、
『KAMCO』の関係者は、「不良債権の買い取りと家計・企業支援の継続により、2027年まで負債規模の増加は避けられない」と説明した
――となっています。
(吉田ハンチング@dcp)






