2023年04月18日、いよいよ2024年度の最低賃金を決める「最低賃金委員会」第1回目の会議が開催される……はずだったのですが、開かれませんでした。
今年は初手から大紛糾の大揉めです。
最低賃金委員会は、
・労働者側の委員:9人
・公益委員:9人
・特別委員:3人
(企画財政部・雇用労働部・中小ベンチャー企業部の局長級公務員)
小計:30人
というメンバー構成なのですが、公益委員となっているクォン・スンウォン『淑明大学』の教授に対して、労働者側からクレームがついたのです。
クォン教授は公平性にかけるので辞任せよとして、会議開催の30分前に会場に入った労働者委員はスローガンを叫んで辞任要求をアピール。クォン教授の席には、「クォン・スンウォン公益委員辞任せよ」という横断幕が掲げられる始末。
『全国民主労働組合総連盟』(民主労総)と『韓国労働組合総連盟』(KCTU)の組合員もなだれ込んだため、会場は一時騒然となって、公益委員とパク・ジュンシク最低賃金委員長は会議場にも入れませんでいした(意図して入らなかったのでしょう)。
委員長、公益委員が入場しないので、激昂した組合側委員も退出。
これで第1回目の最低賃金委員会の会合はご破算となりました。スゴいのは労働者側委員の言い分です。
労働者側委員のリュ・ギソプさんは「(公益委員と委員長が)責任ある公式説明や説明なしに会議を遅らせた。事態に対する責任は委員長と事務局にある」と述べています。
韓国メディア『毎日経済』が統計庁のデータを基に、文在寅政権の期間(2017~2022年)に最低賃金が2,690ウォン上がって、「雇用者のいる自営業者」の数がどのくらい減ったのか数字を出しています。
それによると、
2017年:160万8,000人
2022年:136万5,000人
増減:-24万3,000人
です。最低賃金を上げて「所得主導経済の始まりだー」とアンポンタンな頭で考えたお花畑の妄想は、惨劇を引き起こしたのです。
同期間で、「1人自営業者」の数は19万3,000人増加しました。最低賃金を払えず、雇用を切った自営業者が増加したと推測できます。
また、最低賃金の影響を強く受ける「日雇い労働者」の数も減少しました。同期間で日雇い労働者の数は、「2017年:151万4,000人」から「2022年:113万2,000人」まで、38万2,000人も減少しました。
このようにマイナス効果が大きいことが分かっているのに、労働者側は最低賃金を「1万2,000ウォン」に上げろと要求しています。
上掲は先の記事でも貼った、韓国の2014年~2024年の最低賃金の推移です(2024年は労働者側からの要求額を入れています)。
「1万2,000ウォン」というのは、2023年から「24.7%」の増加です。世界のどこに、1年で最低賃金が24.7%も上がる国があるというのでしょうか。
韓国は、身の丈に合った賃金制にするべきです。となると、やっぱり無茶苦茶で横暴な労働組合を抑え込む必要がある――という結論にならざるを得ません。
(吉田ハンチング@dcp)