韓国「ウォンの価値が韓国通貨危機以来の最低水準」⇒ インフレを亢進させる要因になる。

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韓国メディア『中央日報』が「ウォン安が韓国通貨危機以来の最安値さいやすね水準」という記事を出して注目されているのですが、これには説明が必要です。

Money1でも連日ご紹介しているとおり、確かに対ドルでウォン安が進行しています。以下のドルウォンチャートをご覧ください(チャートは月足で『Investing.com』より引用:以下同)。

月足で見れば、直近最安値は2009年03月の始値「1ドル=1,536.65ウォン」です(ローソク足の実体部分)。

確かにウォン安は進行していますが、さすがにそこまでいっていません。

『中央日報』が安値といっているのは、「実質実効為替レート(Real Effective Exchange Rate:REER)」のことです。

「実質実効為替レート」とは何か?

通常の為替レートは、特定の通貨どうしの二国間レートにすぎません。Money1で毎日ご紹介しているのは、アメリカ合衆国のドルと韓国のウォンのレート変動です。

しかし、実際の国際貿易は「複数の相手国」と行われているため、ウォンが諸外国通貨に対して「総合的に」どれほど強いか/弱いかを測る必要が出てきます。

そこで使われるのが、「名目実効為替レート(NEER:Nominal Effective Exchange Rate)」です。

複数の貿易相手国の通貨に対して、貿易量に応じて加重平均して算出される指数ですが、これには物価(インフレ率)の差 が反映されていません。

そこで「実質実効為替レート(REER)」の出番となります。

実質実効為替レートは、名目実効為替レート(NEER)を、自国と貿易相手国の物価比(相対物価)で調整したものです。

つまり、

為替変動
韓国と取引相手国の物価上昇率の違い(インフレ差)
貿易比率のウェイト

のを反映した指数になります。

韓国でいえば――「ウォンの実質購買力が、主要国通貨に対してどれだけ強いか/弱いか」を示す指標――というわけです。これが「韓国通貨危機以来の水準」といっているのです。

韓国ウォンの購買力は韓国通貨危機以来の最低水準

『BIS』(国際決済銀行)の実質実効為替レートは、

基準年(今は2020年)= 100
100より上 ⇒ 基準年よりウォンの購買力が強い
100より下 ⇒ 基準年よりウォンの購買力が弱い

――というふうに見ます。

年・時点 REER値(2020=100) 意味
2025年9月 90.57 2020年よりウォンの実質購買力が 9.4%低い
2024年12月(非常戒厳時) 90.97 当時よりさらに弱い
2025年1〜9月平均 90.87 2009年以来の低さ
2009年 86.96 金融危機級のウォン安
2022年 94.88 コロナ時よりも弱い

こうして見ると、確かにウォンは韓国通貨危機時以来のウォン安水準ということになります。

外国から購入するときのウォンの価値が下がっているわけですから、インフレを亢進させなければいいですね。

(吉田ハンチング@dcp)

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