韓国メディア『朝鮮日報(日本語版)』に韓国の鉄鋼業界が苦境に陥っているという記事が出ました。
・自動車・造船などお得意様が不景気で需用不足
・日本製品の低価格攻勢で売れない
の三重苦だというのです。
確かにここ最近の鉄鉱石の価格急騰は異常なほどです。以下をご覧ください(チャートは『TradingEconomics』より引用:鉄鉱石先物)
トン当たり「120ドル」を超えており、2020年05月には「82ドル」ほどでしたので1.5倍にも高騰しています。原料がこれほど上がると製品に反映しないわけにはいきません。日本でも各種鋼板などは値上げに踏み切っています。
しかも自動車産業などお得意様の業績が良くないので売上も上がらないというわけです。
三つ目の日本の低価格攻勢というのは、日本の鉄鋼業界も大変なのでいかがなものか、というところですが、とにかく同紙の記事には以下のように書かれています。
品質の良い日本製の鉄鋼材が急速に韓国市場に食い込んでいることも、韓国の鉄鋼業界を脅かしている。
「品質が良いのは認めているんだ」ですが、韓国では日本製が安く入ってきて自国鉄鋼業を脅かしているというのです。
韓国鉄鋼協会によると、建設資材であるH形鋼の今年1~8月の輸入量は27万1,871トンで、前年同期比24.2%減少した。
ベトナムやバーレーン、中国など大半の国からの輸入が減った一方、日本からの輸入量は11万4,835トンで55.1%急増した。
同期間の輸入総量の42%が日本製だった。
日本製が占める割合は2017~19年には約13~22%だったが、大きく上昇している。日本製H形鋼の輸入量は17年から増加を続け、19年に初めて年間10万トンを超えた。
ちなみに価格は以下のとおりだそうです。
今年累計の輸入単価
日本製熱延鋼板:477ドル/トン
中国製熱延鋼板:488ドル/トン
日本には日本の都合がありまして、内需が弱い分海外に活路を求めないと仕方がないのです。
韓国にとっては苦境かもしれませんが、「安くていいものは支持されて当然」ですから、日本の鉄鋼企業にはぜひ頑張って業績を伸ばしていただきたいものです。
(柏ケミカル@dcp)