2025年10月14日、中国の商務部が、韓国企業『ハンファオーシャン』の子会社、5社を制裁措置リストに追加する――と公表しました。
以下はそのプレスリリースです。
中華人民共和国商務部令
二〇二五年第6号韓華海洋株式会社の米国に所在する関連子会社5社に対する反制措置に関する決定
【公布機関】安全与管制局
【公布文書番号】商務部令2025年第6号
【公布日】2025年10月14日中華人民共和国商務部令
二〇二五年 第6号アメリカが中国に対して海事、物流および造船業に関して301条調査措置を講じたことへの対抗措置として、国家反外国制裁業務調整メカニズムの承認を経て、ここに《韓華海洋株式会社の米国に所在する関連子会社5社に対する反制措置に関する決定》を公布し、2025年10月14日より施行する。
商務部部長 王文涛
2025年10月14日『韓華海洋株式会社』の米国に所在する関連子会社5社に対する
反制措置に関する決定アメリカが中国の海事、物流および造船業に対して301条調査を実施し、措置を講じたことは、国際法および国際関係の基本的な準則に著しく違反し、中国企業の合法的権益を深刻に損なうものである。
『韓華海洋株式会社』の合衆国に所在する関連子会社は、合衆国政府による関連調査活動に協力・支援し、中国の主権、安全、発展利益に対して害を及ぼしている。
中華人民共和国《反外国制裁法》第3条、第4条、第6条、第9条、第10条、第15条および《〈中華人民共和国反外国制裁法〉の実施に関する規定》第3条、第5条、第8条、第10条の規定に基づき、国家反外国制裁業務調整メカニズムの承認を経て、中国側は以下の通り決定する。
『韓華海洋株式会社』の米国に所在する以下の関連子会社5社:
Hanwha Shipping LLC
Hanwha Philly Shipyard Inc.
Hanwha Ocean USA International LLC
Hanwha Shipping Holdings LLC
HS USA Holdings Corp.を反制リストに追加し、次の反制措置を講じる:
中国国内の組織および個人に対し、当該企業との関連取引、協力などの活動を禁止する。
⇒参照・引用元:『中国 商務部』公式サイト「中华人民共和国商务部令二〇二五年第6号 关于对韩华海洋株式会社5家美国相关子公司采取反制措施的决定」
ご注目いただきたいのは、この制裁措置に至った理由の説明です。
「『ハンファオーシャン』の合衆国に所在する関連子会社は、合衆国政府による関連調査活動に協力・支援し、中国の主権、安全、発展利益に対して害を及ぼしている」――となっています。
つまり「合衆国政府による調査に協力しやがったから」――です。
『ハンファオーシャン』に対する痛手になるかというと――実務における直接の影響は限定的だと思われます。
――というのは合衆国子会社に対するものだからです。『ハンファオーシャン』本体に対する制裁措置であれば痛撃となりますが、合衆国子会社では、
・合衆国政府(特に戦争省や海軍)向けの艦艇や商船の建造受託活動
・合衆国内での造船資材・機器の調達や保守
・一部、海運事業や投資持株会社的な役割
――といった仕事を行っていますので、「中国国内の組織および個人に対し、当該企業との関連取引、協力などの活動を禁止」となっても、特に影響が甚大ではないでしょう。
『ハンファオーシャン』本体がそうなると厳しいですが。
なぜなら、エンジン部品、バルブ、配管など中低価格部品の下請けを中国に依存していますし、ブロック製造や鋼材の事前加工を中国の造船下請け会社に外注するケースもあり、供給網が中国にまたがっているためです。
もっとも『ハンファオーシャン』だけではなく、韓国の造船産業自体が中国依存を深めているので、韓国企業本体に制裁措置が拡大すると、ただでさえ斜陽産業なところに、製造面で大打撃を受けることになるでしょう。
しかし、そうなると中国企業からしてもお得意さまを失うことになるので、痛手です。中国共産党は人民や民間企業のことなど歯牙にもかけていないので、何をするか分からない――ではありますが。
ともあれ、合衆国と中国の戦いはまた激しさを増しています。
(吉田ハンチング@dcp)







