韓国メディア『亜州経済』に非常に興味深い記事が出ました。韓国でフルタイムで働く労働者を1人雇用すると、会社はいくら負担することになるか、という記事です。
日本でもそうですが、健康保険・厚生年金など、社会的なセーフティーネットのコストは、労働者だけではなく雇用側(会社)も負担しています。韓国も同様のシステムを取っています。そのため、労働者を雇用すると額面給与以上のお金がかかるのです。
では、韓国では労働者1人当たり、どのくらいのコストがかかるのでしょうか。
以下に同紙の記事から一部を引用します。
雇用労働部が23日に発表した「2019会計年度の企業労働費用調査結果」によると、国内の常用労働者10人以上の常用労働者一人当たりの月平均労働費用は534万1,000ウォンであると調査された。
賃金をはじめ、退職金や4大保険料、福祉費などを合わせた金額だ。
⇒参照・引用元:『亜州経済』「社員一人あたりかかるコストは月534万ウォン」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
「534万1,000ウォン」は「1ウォン=0.090円」(2020年09月24日のレートを使用)で日本円に換算すると「48万690円」です。
わけです。
ちなみにこれは「前年比:2.8%増(14万6,000ウォン/1万3,140円増)」で、「韓国の賃金増加傾向は続いている」と判断されています。
企業の規模別に見ると以下のようになります。
300人以上の会社:649万8,000ウォン(58万4,820円)/月
韓国の労働コストは右肩上がりを続けており、労働者にとってはいいことでしょうが、これが「企業が製造拠点を海外に移す」大きな理由となっています。
韓国は輸出1本で食べている国ですので、労働コストが上昇すると製造コストが上昇することになります。世界で戦う際の価格戦闘力に影響しますから、韓国内で輸出品目を製造し続けることができなくなるのです。
で、企業は製造拠点をどんどん海外に移し、文在寅大統領がいくら呼びかけても二度と帰ってこない。そういう構造になっています。
(柏ケミカル@dcp)