日本でも中古車には「メーカー認定中古車」(CPO:Certified Pre Owned)というのがありますね。保有期間や走行距離、程度などを見て、製造メーカー自身が認定した優良な中古車とされます。
韓国にもあるのかしらと思ったら、実は輸入車のCPOを扱う会社は13社あるのに、国産のCPO中古車を扱う会社は「0」だというのです。
これは意外な盲点というべき面白い話ですので、以下に本件を報じた韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を引用します。
13 対 0
これは、国内で「認証中古車事業」を行うメーカー数を「輸入車」と「国内完成車メーカー」で比較したものだ。
政府が国内完成車業界の中古車市場への進出を防ぎながら90度傾いたフィールドになってしまった。
(後略)
輸入車のCPOを扱う会社は13社あるのに、韓国自動車企業のCPOを扱う会社は「0」。なぜこのような事態になったかというと、韓国政府の政策が原因です。
中古車販売業というのは「中小企業」の行う事業であるとして、大企業の参入を認めていないのです。そのため、
(前略)ドイツ3社をはじめとする6つの輸入車メーカーの認証中古車販売数は2018年の2万4,577台、2014年(4,586台)に比べ5倍以上に跳ね上がった。
一方、国産車のお客様は、メーカーが認証する、高品質の中古車を購入する機会自体がない。
(後略)
という状況になりました。
同記事は理由を以下のように説明しています。
(前略)2013年中古車販売業が中小企業に適した業種に指定され、国内の自動車メーカーなどの大企業の中古車売買市場への進出ができなくなったからだ。
中小企業に適した業種の指定は昨年初め撤回されたが、今度は「小商工人生計型適合業種」という壁をつくった。
生計型適合業種に指定されると、今後5年間、大企業の中古車市場への進出は、再び妨げられる。
業界では、小商工人を保護するために、大企業の進出を防いだが、結果的には、輸入車メーカーだけ保護し、被害はそっくりそのまま消費者に返されるという不満が出ている。
(後略)
ですので、韓国は自動車産業が基幹産業といっているのに、国内には自国自動車メーカーのCPO中古車を扱う会社がない、という非常に不思議な事態となっているのです。
本当にヘンな国ですね。
重要な追記
2020年10月08日、韓国『現代自動車』の金専務が国会産業通商資源部「中小ベンチャー企業委員会」の国政監査に出席し「中古車事業」への進出について意欲を表明しました。業界の反発必至で、韓国の中古車市場に波乱が起こるかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)