ここのところ韓国メディアで「○○からLNG運搬船□隻受注!」みたいな見出しが躍りますので、韓国の造船業は安泰なのかと思われるかもしれませんが、実は全然そうじゃないのです。
↑例えば『亜州経済(韓国版)』。このような記事だけ見ていると景気が良さそうですが……
まず造船業というのは、いったん受注が縮小すると不況が長引く傾向にあります。というのは、船、特にタンカーやLNG運搬船はそんなホイホイ完成するものではありません。受注してから完成までに2年とか、3年とか要します。ですから、とにかく受注しても完成してお金が全額回収できるのは2-3年先という気の長い商売です。
逆にいえば、現在の受注量が2-3年先の景気(お金の量)を決めるわけです。
で、韓国メディアで華々しく成果が記事タイトルになっていますが実際に造船業がうまく回せるだけの仕事量なのかというと……以下をご覧ください。
『韓国造船海洋』※:91.0%
『大宇造船海洋』:74.5%
『サムスン重工業』:65.0%
2020年12月24日現在
『韓国造船海洋』が「91%」と頑張っているように見えますが、実はこれは先だって目標を下げた結果です。
おかげで「91%」になっています。元の受注目標のママならわずか「57.5%」の達成率に過ぎません。
ですので、韓国メディアの喜び方とは裏腹に、ちっともいい状況はないのです。むしろ受注目標が達成されておらず、「2-3年先も不況だ!」なのです。というわけですから、先にご紹介したとおり、韓国の造船業は斜陽で、なんとか赤字に耐えながら「世界一のシェア」なんて言っているに過ぎません。「困っている」のが本当なのです。
※『韓国造船海洋』は持ち株会社で『現代重工業』『現代尾浦造船』『現代三湖重工業』を傘下に持つ。『大宇造船海洋』も傘下とする予定ですが、日本など世界の承認が必要でまだ実現できていません
(吉田ハンチング@dcp)