すでに事実上破綻しているので頓死も何もないのですが、韓国『双竜自動車』がもう二進も三進もいかない状態になったと報じられました。『中央日報(日本語版)』にも記事が出ています。
記事の一部を以下に引用します。
(前略)
双龍車の関係者は「ライン稼働のため資材代金を現金で決済してところ(現金が不足し)今月の給与を正常に支払うのが難しくなった」とし「代議員説明会を通じて現在の会社のキャッシュフローについて説明する」と述べた。
(後略)
工場のラインを動かすため、自動車部品を購入するため現金払いをしていたのだが、それで従業員の給与が支払えなくなった――いよいよ末期症状です。
『双竜自動車』が法定管理申請書をソウル回生裁判所に提出して以降、部品メーカーは『双竜自動車』の工場に部品を提供するのをやめました(一部を除いて)。代金の回収ができないかもしれないからです。
また、新しいオーナー探しは『双竜自動車』にお金を貸した外資系金融機関の縛りにあって難しい局面となっています。
現オーナーであるインド企業『マヒンドラ&マヒンドラ』の株式保有比率が「51%」を下回ったら、貸し付けている「3,899億ウォン」をすぐに回収にかかることになっています。つまり、『マヒンドラ&マヒンドラ』の信用で資金を提供したのであって、同社が抜けるのであれば『双竜自動車』を信用できないというわけです。
しかし、『マヒンドラ&マヒンドラ』はこの9年間一度も株主に配当を出せなかった会社からすぐに足抜けをしたいのです。すでに報じられているとおり同社は『双竜自動車』の持ち株比率を「30%以下」に下げると宣言しています。
これに韓国内の債権団(主力は『産業銀行』)が図々しい以下のような要求を出しています。
・新規借入金の満期を過去の借入金の満期より先に設定する
(新規借入金は韓国内の債権団が提供)
(要は自分たちが新たに入れるお金を先に回収させろと言っている)
『産業銀行』は「黒字が出るまで賃金交渉を行わないと労働組合に約束させるから」などと言って、「逃げないでくれ」と『マヒンドラ&マヒンドラ』を説得しているのです。
しかし、この話には説得力がありません。というのは「双龍車労働組合」は2009年以降、労働争議を起こしてはいないからです。ですので、問題の根幹は、原価構造などさっぱり利益が出せない企業体質にあるのです。
だましだまし動かしてきた工場も最後のときが来たようです。ソウル回生裁判所が与えた猶予期間は2021年02月28日まで。いよいよ終幕かもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)