林外相は何しに中国へ行くのか? 中国はCPTTPにも色目を使っている

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2023年04月01~02日の日程で、日本の林芳正外務大臣が中国を訪問します。

中国の公安に拘束された日本人を取り返すための交渉といわれますが……。

03月31日に行われた、中国外交部の定例ブリーフィングにおける中国の報道官の説明を以下に引きます。

『CCTV』記者:
中国は日本の林芳正外相の中国訪問を発表しました。 今回の訪問の背景と段取りを紹介していただけますか?

毛寧:
中国と日本は密接な隣国であり、両国が健全で安定した関係を維持することは、両国と地域の共通の利益です。

中国は林芳正外相の訪問を非常に重視しており、中国指導部は林芳正外相と会談し、秦剛国務委員兼外相が日中関係や共通の関心事である国際・地域問題について意見交換を行う予定です。

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「2023年3月31日外交部发言人毛宁主持例行记者会」

自分で「中国が不法に拘束した日本人の解放問題について話し合う」とは言うはずありませんが、「日中関係や共通の関心事である国際・地域問題について意見交換を行う」となっています。

この中に「日本人拘束」問題は入っているのでしょうか。意見交換の結果がどうなったのかはスグに分かります。

実は、今回のブリーフィングで非常に興味深い質問も出ました。他ならぬ「CPTTP」についです。イギリスが参加することはほぼ承認されたということで、『Reuters(ロイター)』の記者が質問しています。

以下をご覧ください。

『ロイター』記者:
オーストラリア、カナダ、日本などが加盟するアジア太平洋11カ国による「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ(CPTPP)」に、イギリスが参加しようとしています。

中国と台湾は共にこの協定への参加を申請しています。現在、イギリス政府は中国を「(国際秩序へ:引用者注)挑戦的」と表現していますが、中国としては、イギリスのCPTPPへの加盟が台湾の加盟を有利にすることを懸念しているのでしょうか。

毛寧:
中国は貿易の自由化と円滑化を強く主張し、アジア太平洋地域の地域協力と経済統合に重要な参加者です。

包括的かつ先進的な環太平洋パートナーシップ(CPTPP)は、この地域における重要な自由貿易協定です。

2021年09月、中国はCPTPPへの加盟を正式に申請し、全ての加盟国と接触、連絡、協議を続けています。

中国のCPTPPへの加盟は、改革をさらに深化させ開放性を拡大する中国の努力に沿うだけでなく、CPTPP加盟国の中国市場拡大や中国との経済・貿易協力にも資するものです。

台湾のCPTPP参加申請について触れられましたが、我々の立場は非常に明確です。

世界に中国は一つしかなく、台湾は中国の不可分の一部であり、一帯一路の原則は国際関係において認められた規範であり、国際社会における普遍的なコンセンサスです。

私たちは、いかなる国と台湾との間の公式な接触にも、台湾が公式な性質を持ついかなる協定や組織への加盟にも、断固として反対する。
(後略)

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「2023年3月31日外交部发言人毛宁主持例行记者会」

『ロイター』の記者は、「台湾も参加を表明しているけど……」と、中国・台湾の加盟争を論点に質問していますが、中国は意外にも「CPTTP」を高く評価しているご様子です。

「アジア太平洋地域の地域協力と経済統合に重要な参加者」と自らを評価し、中国が加盟すれば加盟国のためになると強弁しています。

そもそもの「TPP」は中国を締めだす意図もあって始まったもの。もちろん、中国自身もそれを分かっているし、だからこそ中に入って食い破りたいわけです。『WTO』のように。

また台湾加盟となって、国際的に、台湾が事実上国と認められるような事態は絶対に避けたいところです。そのためにも先に加盟して、台湾の加盟に反対したいのです。

中国に一度潜り込まれるといいようにされてしまいます。ですので、中国のCPTTP加盟など論外です。『WTO』の例を見ても、中国は国際的な約束を一切守りません。

中国はWTOとの約束を全く果たしていない! 11項目の全て「否」
2001年12月11日、中華人民共和国(以下「中国」と表記)は「WTO」(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に正式に加盟しました。これで中国の貿易に関する不公正な態度は徐々に修正されると資本主義国は期待して...

林芳正リンホウセイ外相の訪中とはズレているようで、実は関係しそうなCPTTP問題。

ボンクラな外相がいらんことを言わないことを心から祈念せずにはいられません。

(吉田ハンチング@dcp)

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