2001年12月11日、中華人民共和国(以下「中国」と表記)は「WTO」(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に正式に加盟しました。
これで中国の貿易に関する不公正な態度は徐々に修正されると資本主義国は期待していたのですが、その見通しは全く甘かったのです。
中国はこの2020年になってもWTOに加盟する際にした約束を果たしていません。
アメリカ合衆国のシンクタンク『US Information Technology and Innovation Foundation』が2015年に出したリポートで痛烈に批判されています。
当リポートの白眉は、「中国がWTO加加盟時に約束した11の項目」について履行されたかどうかをチェックした表です。
以下がその和訳です。ご覧ください(表組は横にスクロールできます)。
中国はWTOコミットメントを果たしたか?
1 市場アクセスの条件として技術移転を必要としない No 2 政府調達契約(GPA)への参加 No 3 国営企業は商業的考慮の基に購入する No 4 国有企業の経済的シェアを縮小する No 5 外資系銀行の国内企業と同等の待遇を与える No 6 通信市場を外国にも開放する No 7 外国映画の配給を自由化する No 8 輸出補助金を大幅に削減する No 9 知的財産の窃盗と違反を大幅に減少せさる No 10 貿易協定の技術的障壁を遵守し、技術基準を操作しない No 11 「ワシントン・コンセンサス」開発モデルへの移行 No ⇒参照・引用元:『US Information Technology and Innovation Foundation』「False Promises: The Yawning Gap Between China’s WTO Commitments and Practices」(原文・英語/筆者(バカ)意訳)
中国はこのように全く約束を履行しませんでした。では現在は?
ほぼそのままです。国有企業はかえって増加しているなど悪化している点もあります。
合衆国はじめ怒る資本主義国家をなだめるため、2019年に「外商投資法」を導入するなどしていますが、中国共産党政府が恣意的に判断できる条項があり、とても信頼できるものではありません。
中国がこのような約束を果たさない国であることを私たちはよく知っておく必要があります。
※「ワシントン・コンセンサス」とは合衆国政府、IMF、世界銀行の間で成立した経済改革の方向性を指す言葉。その内容は「財政赤字の解消」「貿易の自由化」「金利の自由化」「規制緩和」「国営企業の民営化」など。これをもってラテンアメリカ諸国の経済改革に臨んだ経緯があります。つまり、中国はこれも守っていないというわけです
(吉田ハンチング@dcp)