韓国で金利上昇についてドタバタしております。コロナ禍の中、政府・企業・家計の三部門で借金を増やしすぎたため、ここで金利が上昇すると大変なことになるからです。
まず韓国三部門の2020年の借金増を簡単にまとめますと、以下のようになります。
企業負債:147兆8,021億ウォン増加(約14兆412億円)
家計負債:125兆7,986億ウォン増加(約11兆9,509億円)
小計:397兆3,007億ウォン増加(約37兆7,436億円)
※企業負債は大企業を除いています
1年でざっくり400兆ウォンの借金が増えたわけです。
不動産ローンを例に取りましょう。
そもそもコロナ禍の中、不動産価格が急騰すること自体がいかがなものかなのですが、(よせばいいのに)韓国では「われもわれも」と買いパニックが起こり、不動産買いのビッグウェーブが来ました。
そのおかげで不動産取得税の納付額が急増したくらいですが、問題はこの不動産買いが銀行からのローンで行われていることです。
家計部門では銀行からの融資の7割が変動金利です。金利が上昇したらどうなるでしょうか? ローンの利子払い金額が増加し、負担に耐えきれなくなった人から売却に走り、これが大きな動きになると不動産の値が下がり、ここまで急騰したバブルの崩壊です。
不動産に限りません。コロナ禍の中、銀行から融資を受けてやっと生活できていた人たちも金利上昇による利子払いの増加に耐えられなくなる可能性があります。
企業もこれは同じです。大企業のように資金が潤沢にあるならいいですが、上掲の「147.8兆ウォン」の借金を増加させた中小・零細企業は利払いの増加に耐えられず倒産、さらに連鎖倒産が起こる可能性があります。
考えてもみてください。147.8兆ウォンが元本として、0.25%金利が上がるだけで3,695億ウォン(約351億円)支払いが増加するのです。
韓国ではただでさえ「ゾンビ企業」(「限界企業」とも)が多いとされています。「ゾンビ企業」というのは、「3年間連続で負債の利子費用を営業利益で賄えなかった企業」をいいますが、韓国は2019年末でOECD24カ国の中で第5位でこのゾンビ企業が多いのです。
2020年のコロナ禍でこの数はさらに上昇していると思われます。ここで利払いが増加することに耐えられるでしょうか?
金利上昇は、もちろん韓国政府の国債発行に影響を及ぼします。アメリカ合衆国の国債金利が上昇すれば、当然ですがそれより利率を上げないと誰も韓国債など買いません。
また、これまで韓国は低金利の恩恵を甘受し、国家債務の利子払いは負債が増加しても「2019年:18兆ウォン」まで下落していました。金利が上がったらはそうはいきません。2020年は「20兆9,000億ウォン」に増加(借金を増加させ過ぎた)。2021年は「22兆7,000億ウォン」になる予定です(第4次災害支援金で10兆ウォンの国債発行などが影響)。
いずれにせよ韓国政府、『韓国銀行』がいかにドタバタしようがいずれ金利の上昇局面はやって来ます。低金利で享受したお金のばらまきはそのとき終焉を迎えます。ドボンにならなければいいですね。
(吉田ハンチング@dcp)