各メディアで2021年05月06日にFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が公表した「Financial Stability Report」(金融安定リポート)が取り上げられています。
↑FRBの「Financial Stability Report」
このリポートの中では、現在右肩上がりを続けている株式などの資産価格について「注意しましょう」という文が含まれています。ただし、一部で伝えられているような「暴落するぞ」といった扇情的な言い方ではありません。
それは、巻頭にある「Overview」を読むだけで分かります。以下に一部を引用します。
1. Asset valuations.
Prices of risky assets have generally increased since November with improving fundamentals, and, in some markets, prices are high compared with expected cash flows. Long-term Treasury yields have risen over the past few months but remain low by historical standards. High asset prices in part reflect the continued low level of Treasury yields. However, valuations for some assets are elevated relative to historical norms even when using measures that account for Treasury yields. In this setting, asset prices may be vulnerable to significant declines should risk appetite fall.
1. 資産評価
11月以降、ファンダメンタルズの改善に伴い、リスク性資産の価格は全般的に上昇しており、一部の市場では、予想されるキャッシュフローに比べて価格が高くなっています。
長期国債の利回りは過去数カ月間で上昇しましたが、歴史的に見て低い水準にとどまっています。資産価格の高さは、財務省の利回りが引き続き低水準であることを反映している部分もあります。
しかし、一部の資産のバリュエーションは、財務省の利回りを考慮した指標を用いても、過去の基準に比べて高くなっています。
このような状況では、リスク選好度が低下した場合、資産価格が大きく下落する可能性があります。
(後略)
ご注目いただきたいのは、「リスク選好度が低下した場合」という部分です。
現在は、お金じゃぶじゃぶ状態の「リスクオン」で投資家が動いているけれども、これが弱まった場合には大きく下落する可能性があるよ、といっています。
それがいつ起きるのかについては誰にも分かりません。現在は、イス取りゲームで音楽が鳴り続けているような状態といえるかもしれません。みんなどこかで曲がぱたっと止まるのは分かっているのです。しかし、曲が鳴っている間は踊り、回り続けるのです。なかなかエキサイティングですね。
(吉田ハンチング@dcp)