破綻して法定管理下となり、再生の道を模索している韓国『双竜自動車』。2021年06月28日には売却公告を出しました。これで30日後の締め切りまでに「買収します」と手を上げる企業があるかどうかです。
さらには、買収する企業が本当に『双竜自動車』を再建できるかです。キーポイントは、『双竜自動車』が製造する自動車が売れるのか?という点(売上がどれくらい見込めるか)、その上で利益が出せるのかという点(コスト構造)です。
なにせ17四半期連続赤字という会社ですから、買収されても利益が出なければまた破綻します。
会計法人の調査の結果……
2021年06月29日の『ソウル経済』の記事によれば、『双竜自動車』の資産調査(いわば企業の値踏みです)に当たっていた『EY会計法人』の中間報告が裁判所に上がった(06月22日提出)のですが、これは先に労使で合意した「従業員のほぼ半分を2年間無給休業とする」などの協約を基に、再生すること前提のものだったとのこと。
そのため、同会計法人は売却主幹事として売却公告を出したのですが……問題があるのです。
『EY会計法人』は、清算価値の方が企業の継続価値よりも「3,200億ウォン」高い、としたのです。
つまり企業を解散して清算した方がお得ということです。
ちなみに、2009年に『双竜自動車』が法定管理に入ったときには、
企業の継続価値:1兆3,276億ウォン
と計算されていました。だからこそインド企業『マヒンドラ&マヒンドラ』が買収したともいえます。しかし、今回は清算価値の方が高いという結果になっています。
さらに資金ショートの問題があります。韓国メディア『ソウル経済』の報道によると、『EY会計法人』は買収によって「3,500億ウォン」(約343億円)の資金を獲得すると計算しているとのこと。しかし、これでは足らず、追加で「4,000億ウォン」(約392億円)の資金投入が必要としているというのです。
3,500億ウォンは買収企業が出すとしても(恐らくこの金額では高く見積もり過ぎ)、4,000億ウォンはどこから持ってくるのか?です。
このような報告が出ていても買収に手を上げる企業が出るでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)