韓国のシンクタンク『韓国経済研究院』が「韓国はもっと海外からの投資を呼び込まないとだめだ」「投資の赤字が深刻化している」という興味深いリポートを出しています。
↑「投資赤字が深刻化する韓国、不十分なFDI誘致競争力の向上が急務!」というタイトルのリポート⇒参照・引用元:『韓国経済研究院』公式サイト
「直接投資」は非常に重要!
同リポートでは、「外国から韓国へのFDI(この場合は国内直接投資:国内FDI)」よりも「韓国から外国へのODI」の金額の方が多いという事実を基にした提言です。
FDIとは「Foreign Direct Investment」の略で、日本語では「海外直接投資」と訳されます。ODIは「Oversea Direct Investment」の略で「域外直接投資」です。
「直接投資」が重要なのは、外国企業が資金を投入して設備を造り、雇用を生み、技術をもたらすなどの恩恵が得られるからです。
韓国は投資収支の赤字が拡大している!
「外国から韓国へのFDI:韓国への資金流入」と、「韓国から外国へのODI:資金流出」を比較してみると、「FDI – ODI」はマイナス。つまり資金流出の方が大きいのです。
「FDI – ODI」は簡単にいえば、投資で入ってくるお金と投資で出て行くお金の収支ですから、仮に「投資収支」と呼ぶと、韓国の投資収支のマイナスは年々大きくなっています。
以下は、「投資収支」(FDI – ODI)のGDP比の推移を、韓国とG5平均(アメリカ合衆国・イギリス・日本・ドイツ・フランス)と比較したグラフです。
G5平均もマイナス(つまり自国から外国への投資の方が多い)ですが、面白いことにこの15年間マイナスは減少しています。ところが韓国のマイナスは増加しているのです。
つまり、直接投資について海外に出て行くお金が増えていることを示しています。
外国に直接投資の恩恵をもたらすばかりで韓国内にはこれが入ってこない――『韓国経済研究院』はこれをなんとかしろ、といっているのです。
韓国への直接投資増加は望み薄
結論をいえば、韓国への直接投資が増加するのは大変に望み薄です。
まず韓国は法人税が高いのです。実効税率は「27.3%」と計算されています。
タックスヘイブンの例を出すまでもなく、企業というのは利潤追求の組織ですので税金が高い国には基本来ません。先進各国では競うようにして法人税を下げてきたのに、韓国はなぜか上げる方向に動きました。
これは、文在寅政権が大企業を目の敵にしている左派政権であるからでしょうが、完全に世界の流れに逆行したものです。外国からの投資を減少させるだけではなく、韓国企業が海外に出ていくのを後押ししたことになります。
また、何度もMoney1でご紹介しているとおり、韓国の現政権は企業を規制する法律ばかりを通してきました。企業に対する規制が多い国に投資しようという企業はないでしょう。
さらに韓国では労働組合による争議が激しく、そんな国で事業をやりたい企業はありません。『韓国GM』のカハー・カゼムCEO(Kaher Kazem)が「誰が韓国でCEOをやりたがるか」と慨嘆したとおりです。
このような理由があるので、韓国への直接投資が減少するのは当たり前です。また、同様の理由で韓国企業も外国への投資に傾注するのです。
(吉田ハンチング@dcp)