韓国の国民請願についての話がもう一つあります。
2021年08月06日、韓国の青瓦台・大統領府は、2021年06月23日に出された「朝鮮日報を廃刊にしてください」という無茶な国民請願に対しても回答しました。
この請願には30万3,792人が賛同し、「1カ月の間に20万人以上の賛同者があった場合には大統領府がなんらかの回答を行う」が成立してしまいました。
現在、韓国ではメディア規制法の行方が話題になっていますので、このような請願に大統領府がどう回答するのかが注目されたのですが……。
以下が回答の全文です。
<朝鮮日報廃刊要求>関連国民請願に回答します。
請願は、記事に不適切な画像を使用した朝鮮日報の廃刊を要求するものでした。請願には、30万人の国民が同意していただきました。
請願で指摘した問題と関連して、当該メディアは、再発防止対策として「過去イラスト使用全面禁止」「デジタルファクトチェックチーム運営」などの措置をしました。
また、メディアの報道の自律審議機構である「韓国の新聞倫理委員会」は、その記事の実例についての新聞倫理綱領に違反したと認めて「警告」を発する決定をしました。
請願が要求する新聞社廃刊は、関連法に規定がありますが、その適用は非常に制限的に規定されています。
「新聞などの振興に関する法律」(以下、新聞法)第22条及び第23条は、新聞の発行停止と登録解除の審判請求と職権登録解除を規定しており、その権限は道知事に付与しています。
当該条項によると、道知事は、新聞社が登録事項を変更せずに任意に変更し発行した場合、出版社などが欠格事由に該当する場合は、3カ月の期間を定めて発行停止を命ずることができます(新聞法第22条第1項)。
また、虚偽不正な方法で登録した場合、新聞などの内容が登録された発行目的や内容を著しく違反した場合等であるとき、6月以内の期間を定めて発行停止を命じ、または裁判所に登録取消の審判請求をすることができます(新聞法第22条の第2項)。
一方、「憲法」第21条「新聞法」第3条ではメディアの自由と独立性を厚く保護しています。
ただし、メディアに他人の名誉や権利または公衆道徳や社会倫理を侵害しないという社会的責任があることも明示しています。
メディアは公益の代弁者として、正確で客観的な情報を提供して民主的世論形成に資する必要がある公的任務を持っているといえるでしょう。
今回の請願がマスコミ自ら内部統制システムの用意など、社会的責任を履行するための努力のきっかけになることを願います。
政府もマスコミの信頼性を高めるための様々な議論が行われるように努力して参ります。
国民請願に参加してくださった国民の皆さんに感謝いたします。
⇒参照・引用元:『韓国 大統領府』公式サイト「回答済み請願」
煎じ詰めていえば、指摘されてから自助努力も行っているので、これからもその努力を続けてもらい、今回の請願をよい契機としてメディア本来の仕事に励むことを望む、という回答です。
少なくとも自由民主主義を旨とする国家であれば、政府の一存で新聞を廃刊に追い込むことなど不可能です。中国共産党は香港でやってのけましたが、これこそ中国に自由、民主主義がない証拠です。
(吉田ハンチング@dcp)