韓国の企画財政部から「2021年第2四半期海外直接投資動向」の資料が公開されました。興味深い内容ですのでご紹介します。
韓国内から海外に直接投資がどのくらい行われたかのデータで、つまり資金流出の具合を示すものです(もちろんリターンを得るためのものですが)。
2021年第2四半期
海外への直接投資総額:165億ドル(約1兆8,049億円)
(対前年同期比:26.8%増加)純投資額:128億4,000万ドル(約1兆4,045億円)
(対前年同期比:57.3%増加)
韓国の対外直接投資金額は、コロナ禍に見舞われた2020年から大きく回復しました。純投資額は、総投資額から売却、貸付け金投資の回収、清算などの投資回収額を除いたものですが、57.3%も増加しています。
しかし、韓国の場合、素直には喜べません。韓国内への投資は減少していますし、海外へ資金が流出していることを意味しているからです。これは、企業が海外脱出を進めて、国内に回帰しないことと密接に関連しています。
最低賃金を上げられるだけ上げて企業の利益を減少させ、企業を縛る法ばかりを整備する文政権・政府与党がいる国にはいたくない、と企業が考えるのは当然です。
しかし、韓国からどこへ資金が向かったかが問題です。以下をご覧ください。
「国別」直接投資額
アメリカ合衆国:60億4,000万ドル(前年同期比:173.0%増加)
中国:15億900万ドル(対前年同期比:202.9%増加)
カナダ:10億ドル(対前年同期比:186.9%増加)
ルクセンブルク:9億ドル(対前年同期比:170.4%増加)
etc※データ引用元は同上
アメリカ合衆国に向かう資金が最も多く、ルクセンブルクはタックスヘイブン狙いでしょうが、中国に向かう資金量が第2位でしかも伸び率でいえば一番大きいのです。
先に、
「韓国企業は中国をこれ以上『ビジネスチャンスの地』だと勘違いしてはいけません」
という『梨花女子大学国際大学院』のチェ・ビョンイル教授の意見をご紹介しましたが、それとは逆の動きをしています。
もちろん韓国が進んで中国に飲み込まれたいなら話は別ですが。
(吉田ハンチング@dcp)