ロシアはアメリカその同盟国から制裁を受けています。プーチン大統領は、この制裁に対抗するために「報復の発動を可能にする法律を可決」などを行っていますが、そもそもロシアは石油輸出一本で食べている国なので、先進国に報復するといってもできることは極めて少ないのです。
プーチン大統領がアメリカの力を削ぐために提唱していることで、無理スジなのは「ドルの使用を少なくしよう」というものです。ドルを使用することがアメリカ合衆国の金融機関を優位に立たせることにつながるので、「ドルの使用を極力やめて、できれば全く使わないようにしたい」としています。中国も同じようなことを考えており、「外国との取引にできるだけ自国通貨『元』を使いたい」としています。
中国の元はひとまず置くとして、プーチン大統領の「ドル使用ゼロ」は叶わぬ希望ですし、ロシアの経済活動をかえって損なうことにつながります。なぜなら、現在も世界の貿易は「ドル決済」が基本であって、ロシア企業が「ドル以外の決済」を望んでもそれに応える外国企業はあり得ないからです。もしあったとしても、リスクを回避するためにその取引はロシア企業にとっては負担の大きいものになるでしょう。そのため、ロシア企業の競争力は大きく毀損されます。
実際、ロシアの経済界からはプーチン大統領の方針について「現実的ではない」という批判が起こっています。「ドル」の覇権に挑戦するにはロシアの国力はあまりにも非力なのです。中国の「元」については別記事でご紹介するように
(柏ケミカル@dcp)