「中国製造2025」計画では「半導体の自給自足」に向けて中心となるべし。と指定されていた中国企業が破綻しました。
中国『紫光集団』がついに破産・再編となりました。Money1でもご紹介してきましたが、2018年ごろから資金難に陥っているといううわさが立ちだし、2020年には実際にデフォルトを起こしてきましたが、ついに債権者『徽商銀行』が同社に債務を返済する力がないと判断。
同社破産を裁判所に申請し、『紫光集団』は法定管理下に入りました。
2021年07月09日、『紫光集団』はホームページ上で『北京中級人民裁判所』から届いた文書を公開し、「裁判所に協力して積極的に債務の清算作業に乗り出す」としました。
↑2021年07月11日13:34現在「ttp://www.unigroup.com.cn/」には接続できなくなっています
現在『紫光集団』のホームページはアクセスできなくなっているようですが、以下が同社が出した声明文です。
一応全訳しますと以下のようになりますが、面倒くさい方は飛ばしてください。
2021年7月9日、当社グループは『北京第一中級人民法院』から通知を受領しました。
その主な内容は、当社グループが債務を期日どおりに決済できず、資産がすべての債務を決済するには不十分であり、明らかにその能力を欠いており、更生の価値と実現可能性があるという理由で、関連債権者が裁判所に当社グループの更生を申請したというものです。
債権者は、当社グループが債務を期日どおりに支払うことができないこと、当社グループの財務状況が悪化していることを理由に当社グループの再建を裁判所に申請しました。
当社グループは、更生手続において裁判所に全面的に協力します。
当社グループは、法律に基づき、司法審査のため裁判所に全面的に協力します。
債務リスクの解決業務を積極的に推進し、裁判所が法律に基づいて債権者の正当な権利と利益を保護することを支援します。
当社は、法律に基づき、裁判所が債権者の正当な権利と利益を保護することを支援します。
『ZiGuang Group Co.』
2021年7月9日⇒引用元:『紫光集団集団』公式サイト
『紫光集団』は過剰投資で債務超過に陥った!
もともと『紫光集団』は、1988年に国立の名門『清華大学』が設立した『清華大学科学技術発展有限公司』がルーツです。1993年に『清華紫光集団』に改組されました。
2010年、趙偉国さんが会長に就任したころからおかしなことになります。
2013年に17億8,000万ドルで『kSpreadtrum Communications』を買収。2014年には9億1,000万ドルで『Raidec』を買収しました。
台湾で「DRAMのゴッドファーザー」と呼ばれる高启全前会長を『紫光集団』のグローバルオペレーション担当副社長に引き抜くことに成功し、業界に衝撃を与えたりしましたが、後に高启全さんは同社を去ります。
趙偉国さんはあの台湾『TSMC』や『MediaTek』を買収するなどと途方もないことを述べたこともあります。
つまり、趙会長は投資、M&Aにやたらお金をつぎ込む人でこの過剰投資が危機を招いたのです。突っ込むお金は借り入れ、社債発行などで調達しますが、投資して利益が上がらなければ借金返済の負担が会社を圧迫することになります。
『紫光集団』が陥ったのはまさにこれで、2020年にはついに債務超過に陥りました。
債務超過は、負債の総額が資産の総額を上回る状態のことで、つまり資産を全部売却しても借金を返せません。2020年11月には「13億元」(約221億円)の債務不履行(デフォルト)が発生、12月にはドル建て社債「4億5,000万ドル」(約495億円)が償還できませんでした。
飛ぶべくして飛んだといえますが、このように国立名門大学をルーツに持つ国営企業が放漫な経営によって平気で飛ぶ。それが中国です。
ただし、グループ内には有望な企業もあるのでそこは再編・再生で生き残るものと見られます。
(吉田ハンチング@dcp)