韓国の経団連といわれる『全国経済人連合会』から興味深いリポートが出ていますのでご紹介します。日本に頼らなくても済むように、韓国が独自に開発するとした半導体の「素材・部品・装備」の件です。
日本は2019年07月01日より、韓国に対して「輸出管理強化」を実施しました。半導体製造には必須の「フォトレジスト」「フッ化水素」「フッ化ポリミイド」の3品目について韓国に輸出する場合には「個別許可」が必要になったのです。
韓国からは猛烈な反発がありましたが、日本政府は音無しの構えでスルー。現在に至っています。
文在寅大統領は「もう二度と日本には負けない」と宣言し、半導体製造に必須の素材・部品・装備を韓国独自に開発して半導体メーカーに供給すべく、韓国内企業に発破をかけました。
以降、文政権はことあるごとに自給率は高まっていると誇らしげに語ってきました。
しかし、日本の輸出管理強化から2年、これら3品目の日本からの輸入状況はどうなっているだろうか?――というわけです。これを『全国経済人連合会』が調査しました。
実はほとんど変化はなかった
『全国経済人連合会』は、管理強化前「2017年下半期~2019年上半期」と、管理強化後「2019年下半期~2021年上半期」の2つで、日本からの輸入金額を比較しました。
すると……。
「フォトレジスト」「フッ化水素」「フッ化ポリミイド」対日輸入額
2017年下半期~2019年上半期:7,295億ドル
2019年下半期~2021年上半期:7,246億ドル
⇒管理強化後は「0.67%減少」「フォトレジスト」「フッ化水素」「フッ化ポリミイド」対日依存度
2017年下半期~2019年上半期:75.9%
2019年下半期~2021年上半期:74.6%
⇒管理強化後は「1.3%減少」
輸出管理強化前と強化後では、金額で「0.67%減」、対日依存度で「1.3%減」とほとんど変化がないことが分かりました。
つまり、文政権は「対日依存度は減少して韓国の勝利」的な喧伝に努めていますが、その努力は「0.67%減」「1.3%減」の効果しかなかったことになります。
以下が3品目の対日依存後の推移です。
↑このように「フォトレジスト」「フッ化ポリミイド」の対日依存度はほとんど変わっていません。高値どまりです※データ引用元は同上
ただし、3品目の中の「フッ化水素」だけは、管理強化後に対日依存度は「31.7%減少」しています。
この理由について『全国経済人連合会』のリポートは以下のように説明しています。
(前略)
これは、輸出管理強化以前には国内関連企業が7ナノ級半導体製造に使われる超微細工程用超高純度フッ化水素の安定性を確保するために純度の高い日本製を使用したが、輸出管理強化の後、中国産フッ化水素も品質テストを経て活用し、研究開発と品質テスト過程を経て国産フッ化水素活用を拡大した結果である。
(後略)※データ引用元は同上
輸出管理強化以前に使用されていた日本産高純度フッ化水素を徐々に中国産や国内産に切り替えたためとしています。その分で歩留まりが悪くなっていなければいいですが。
というわけで、韓国の努力にもかかわらず、「半導体製造に必須な素材」の対日依存度は輸出管理強化後もほとんど変化しておりません。
(吉田ハンチング@dcp)