韓国の2022年度予算607兆7,000億ウォン(約58.1兆円)が国会本会議を通過しました。
先に「速報」でご紹介した韓国型軽空母の予算の件です。
政府原案どおり72億ウォンが通過した!
与野党の折衝が最後でもめて決裂した「韓国型軽空母」の設計予算72億ウォン(約7.0億円/正確には71億8,800万ウォン)は、政府原案どおりに通過するという事態となりました。
今回の予算で新規装備調達事業となったもの、その予算は以下のとおりです。
韓国型軽空母:72億ウォン(約6.9億円)
超小型衛星システム:112億ウォン(約10.8億円)
長射程砲迎撃システム:189億ウォン(約18.1億円)
小型武装ヘリコプター量産:905億ウォン(約86.9億円)
F-35A性能改良:200億ウォン(約19.2億円)
第2次「大型輸送機」:158億ウォン(約15.2億円)
etc
※32事業
政府与党『共に民主党』のユン・ホジュン院内総務は、韓国型軽空母事業について「これ以上軽空母事業を遅らせることはできない」と述べ、政府原案での通過を強力に推進。
また、同党のアン・ギュベク議員(国会国防委員会に所属)は、与野党折衝の最中に「日本が4隻、中国が9隻の空母を保有しようとしている。単に北朝鮮ではなく東アジア全体情勢を考慮して決定する」と、軽空母の必要性を力説しました。
大統領の「軽空母GoGo!」が効いた
韓国に空母など必要ないですし、艦載機として想定しているF-35Bをアメリカ合衆国が売ってくれるかどうかもまだ分からないのに、日本と中国が保有するので韓国も――と事業を推進しようとしています。
この韓国型軽空母事業には、他ならぬ青瓦台・大統領府の意向が強く反映されています。
Money1でもご紹介したことがありますが、文在寅大統領は(よせばいいのに)2021年03月に「2033年ごろに姿を表わす3万トン級軽空母は世界最高水準の韓国造船技術で建造されるだろう」と述べています。
国会国防委員会によって予算が削られたのには、文大統領もいたくご立腹だったようで、今回の与野党折衝決裂にも大統領府が介入したようです。
韓国メディア『毎日経済』の報道によれば、「大統領府としては、次の政府でも軽空母事業を続けるためには、削減された予算が復旧されなければならないという立場だった」、「結局、予算処理の期限を控え、大統領府の政務ラインと与党指導部の間のホットラインが動いた」と報じています。
どこまで本当か裏は取れませんが、大統領の意向が与党のごり押しとなって与野党の折衝を決裂させたようです(時間切れになれば圧倒的多数を占める与党の意向で単独可決可能)。
軽空母の影で装備調達費は「6,445億ウォン」削減された!
韓国型軽空事業を何がなんでも進めたいという勢力にとっては「良かった」でしょうが、実はその背後で韓国軍の装備調達費は「6,445億ウォン」(約618.7億円)削減されました。
以下のようなものが削られています。
大型機動ヘリコプターⅡ:353億ウォン(約33.9億円)
移動型長距離レーダー:180億ウォン(約17.3億円)
PKX-B BatchⅡ:120億ウォン(約11.5億円)
etc
結局、韓国の2022年度国防予算は、2021年比「3.4%増加」した54兆6,112億ウォン(約5.2兆円)で決定しました。
――というわけで、すったもんだの挙げ句、2022年度から韓国型軽空母の基本設計が開始されることとなりました。どうなりますやら、その行方にご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)