『韓国銀行』から10月末時点での韓国の外貨準備高が公表されています。以下がその英語版です。
外貨準備高:4,692億ドル(約52兆9,070億円)※1
(前月比:52億ドル増加)<<内訳>>
⇒Securities 4,184億ドル(約47兆1,788億円)
(証券類)
前月比:9億ドル減少⇒Deposits 258億ドル(約2兆9,092億円)
(預金)
前月比:59億ドル増加⇒SDRs 155億ドル(約1兆7,478億円)
(IMFのSDR(特別引出権))
前月比:1億ドル増加⇒IMF position 47億ドル(約5,300億円)
(IMFリザーブポジション)
前月比:1億ドル増加⇒Gold 48億ドル(約5,413億円)
(金)
前月比:増減なし※1円換算は2021年11月09日「1ドル=112.76円」のレートで算出
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「公式外貨準備(2021年10月)」
当月の注目ポイントは現金たるDeposits(預金)が52億ドル増えている点です。
まず、10月に発行した外国為替平衡基金債券(略称「外平債」/ドル建て5億ドル + ユーロ建て7億ドル:約13億ドル)の分のキャッシュがここに入っているはずです。
債券発行によって得たお金なので負債ですが、外貨準備は資産(assets)しか見ない(貸借対照表の左側・資産の部しか見ない)ので、増えて良かったね、になります。しかし、これは利子を付けて返さないといけないお金なので「外貨準備高が増えたー」で喜んでいる話ではありません。
外貨準備は借金しても増えるものなのです。
加えてSecurities(証券類)が「9億ドル」減少していますが、ただSecurities(証券類)が減るということはありませんので、売却でその分がキャッシュになったとして、上の13億ドルと足して22億ドル。
増えたのは52億ドルですから、残りの30億ドルはなぜ増えた?ということになります。
『韓国銀行』は10月の増加について以下のように説明しています。
(前略)
その他通貨建て外貨資産のドル換算額、外貨外平債発行、金融機関の外貨預金、外貨資産の運用収益などが増加したことによる。
(後略)※データ引用元は同上
金融機関の外貨預金が増加したためとしていますが、これがいくら増えたのかが分かりません。
預金も負債勘定になります。「銀行」にとっては返さなければならないお金ですので。貸借対照表上は、(いくら増えたか分かりませんが)負債に外貨預金の「?億ドル」が積まれ、資産の方にも「?億ドル」が計上されます。
で、資産の部だけ見ればその分「外貨準備高が増えたー」になるわけです。運用収益もいくらなのか毎度のことながら不明です。これについては「きちんと計上していないのではないか」という話があるにもかかわらず、『韓国銀行』のプレスリリースではいつも「運用益ぶん増えた」となっています。これについては謎な部分です。
というわけで、外貨準備高が増加し過去最高となっているのですが、外平債の発行による借金増加、金融機関の外貨預金増が主な理由ですから「そうですか」という感じです。
<<重要な追記>>
図内の表記に誤りがありましたので修正いたしました。誠に申し訳ありません。
(吉田ハンチング@dcp)