2022年01月19日、韓国「金融委員会」の高承範(コ・スンボム)委員長は「小商工人債務リスク点検懇談会」を開催しました。
出席者は、高院長はじめ、金監院首席部院長、『韓国銀行』副総裁、金融研究院副院長、『KDI』副院長などそうそうたるメンバーです。
議論されたのは、「03月末で元利返済の猶予措置が終わっても爆弾は破裂しないよね?」という件です。
不良債権化が食い止められている
韓国政府は、コロナ禍で経営が危うくなる中小企業、個人事業主に対して「融資の利息支払い、元本返済の猶予措置」を行いました。
これによって中小企業・個人事業主が債務不履行にならずに済んだかもしれませんが、不良債権化が先延ばしになっただけともいえます。
返済猶予になっている金額は、韓国の国会議員が取り寄せて公開したデータによれば「106万件で261兆2,301億ウォン」(約25.1兆円)です。
2021年10月末時点でこの金額です。韓国の国家予算が約600兆ウォンとして、返済猶予のダムで止まっている金額は国家予算の43.5%の規模になります。
返済猶予措置が03月末に切れてダムがなくなったとして、このうち何%が不良債権化して金融機関に押し寄せるでしょうか?
不良債権の金額が莫大なものになれば当然、銀行の健全性が揺らぎます。また、貸倒引当金が足らなくなる自体も想定できます。銀行が傾いたらその影響は大きなものになるでしょう。
というような次第で、金融委員会は「返済猶予措置が03月末に終わっても大丈夫かね」という会議を開いたわけです。
以下が金融委員会のプレスリリースになります。
◈コ・スンボム委員長は、満期延長・償還猶予などコロナ19金融支援政策で金融部門が中小企業・個人事業主の危機克服に寄与したが、潜在的な不良債権の拡大など副作用も大きくなっていることを指摘した。
◈今後の金融支援措置の秩序ある正常化のため、
➤満期延長・償還猶予は3月末に終了することを原則とするが、コロナ19防疫状況、金融圏の健全性などを総合的に考慮するものとする。
返済猶予措置は中小企業・個人投資家を助けたが、「潜在的な不良債権の拡大など副作用も大きくなっている」と明記しています。
その上で、「原則、猶予措置は2022年03月末まで」としながらも、「金融圏の健全性を考慮して決める」と逃げも打っています。
「ヘイヘイ、ピッチャーびびっているよ!」とヤジが浴びせられるような状況といえましょう。
『韓国銀行』のデータによれば、2021年09月時点で個人事業主の負債は「887兆5,000億ウォン」(約85.2兆円)もあります。
「ほほ笑みの爆弾」なら詩的ですが、「888兆の爆弾」ですので全くシャレにもなりません。
やがて来る03月末に韓国政府がどのような判断を下すのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)