韓国の国民年金制度が破綻しかかっています。Money1でも時折ご紹介していますが、いよいよ本当に危なくなってきました。
以前にご紹介したとおり、韓国の年金制度はそもそも建て付けが「低負担・低福祉」。保険料が少なくて済む代わりに保障も薄い――というのものです。しかし、それでも制度が維持できなくなっています。
理由は簡単で、人口減少が顕著で制度を支えるだけの保険料収入が得られないからです。
2020年に出生数と死亡数がデッドクロスし、合計特殊出生率※が「0.84人」まで低下。韓国政府の予想よりずっと早く人口が減少しており、これに歯止めが掛かりません。
当然、保険料を支払う労働者の数も減っているわけで、国民年金基金の枯渇時期が予測より早まっているのです。
2020年に国会予算政策処が弾いた計算によれば、国民年金基金の最大積立金は「2038年:1,345兆ウォン」で、収支が赤字に転落するのは2039年。基金がすっからかんになるのは2055年です。
2055年といえばあと34年しかありません。
2018年の計算では、
2042年:収支が赤字に転落
2057年:積立金が枯渇
でした。2年たって積立金の枯渇時期が2年早まったのです。
さらにさかのぼって2013年の計算では、
2044年:収支が赤字に転落
2060年:積立金が枯渇
でした。2060年までもつはずが2055年までしかもたない、となっています。
先にご紹介したとおり、韓国の生産人口は激減します。当然、国民年金の保険料徴収も激減するのです。韓国政府はそれでも合計特殊出生率は0.7人で歯止めがかかって緩やかに回復する――なんてシナリオ(しかもこれが中位シナリオ)を描いていますが、これが外れたら全部パーです。
解決策は保険料率を上げるしかありません。併せて、年金支給開始年齢を上げて保険料の徴収対象を拡大する。しかし、韓国政府がそれを断行できるかどうかです。
この面倒な話は次期政権送りなのです。文在寅政権は。
※合計特出生率とは「女性一人が15歳から49歳までに出産する子供の数の平均」です。これが「2.2人」程度ないと人口は増加しないといわれます。
(吉田ハンチング@dcp)