結論からいえば駄目です。
2021年01月01日、韓国の産業通商資源部から2021年の輸出入動向のデータが出ました。
これで2021年が締まったわけですが(ただし暫定版)、韓国メディアではまた「輸出が絶好調」「輸出額が史上最大の実績!」といった報道が出るでしょう。
しかし、何度もご紹介していますが、問題は輸出入でどのくらいもうかったのか、です。
「輸出 – 輸入」で求める「貿易収支」が大きくないと韓国の経常収支は黒字になりません。経常収支が黒字でなければ、合衆国ではないので、お金が出ていくばかりになって国が成立しないのですから。
まず、産業通商資源部のプレスリリースの冒頭部分をご覧ください。
<<以下 和訳>>
◈ (総括) ’21年の輸出は6,445.4億ドル(+25.8%) 、輸入は6,150.5億ドル(+31.5%) 、貿易収支は294.9億ドルで、13年連続の黒字◈ ’21年の輸出入の主な特徴
➊輸出額(6,445億ドル)は、既存最高値(’18年6,049億ドル)を約396億ドル上回り、3年ぶりに史上最高値更新と同時に輸出プラス転換*年輸出額(億ドル) : (’18) 6,049(+5.4%) → (’19) 5,422( △ 10.4%) → (’20) 5,125( △ 5.5%) → (’21) 6,445(+25.8%) )
ㅇ年間輸入も初めて6,000億ドルを超え、貿易額(輸出と輸入を足したもの:筆者注)も史上最大規模達成(1兆2,596億ドル) →世界貿易順位9年ぶりに8位に上昇
※韓国の貿易額順位:(’07~’09)11位→ (’10~’11)9位→ (’12)8位→ (’13~’20)9位→ (’21)8位
➋半導体・石油化学・自動車など15台の主要品目輸出がいずれも2桁増加し、15代全品目プラスは’00年以降初(全品目のバランス成長)
ㅇ半導体(1,280億ドル)・石油化学(551億ドル)などの伝統的な主力産業の輸出は、過去最高の実績を記録し、強固な増加傾向を示している。
(後略)
という具合に派手な書きようのプレスリリースとなっています。
13年連続黒字としていますが、そうでないと韓国は成立しません。赤字になると経済危機になるからです。その前は、まさに「韓国通貨危機」の時でした。
輸出額が増えたのは喜ばしいかもしれませんが、輸入も韓国史上初めて「6,000億ドル」を超えました。つまり、「輸出 – 輸入」で求める貿易収支をその分圧迫したことになります。
以下が最も大事な通年での成績、前年との比較です。
上掲のとおり、貿易でのもうけ「貿易収支」は、昨年より「153.8億ドル」も減りました。「34.3%の減少」です。
実のところコロナ禍が直撃した2020年より貿易のもうけは減ったのです。
2021年は「韓国史上最大の輸出を達成したのに黒字が34%も減少する」という実に皮肉な結果になりました。
国際収支統計はどう締まるのか?
さて、問題なのはここからです。この通関ベースのデータが国際収支統計でどう締まるのかにご注目ください。
Money1では何度もご紹介していますが、関税庁の通関ベースを基にした産業通商資源部の発表と、国際間で参照される公式データ、国際収支統計では大きくずれます。
間もなく公表されるはずの国際収支統計が出たら、またご紹介します。
(柏ケミカル@dcp)